「ア・ラ・ディジョネーズ」
薄めのクラストは、艶があってもっちりとした弾力性。キュッと詰まったクラムは、適度なモッチリ感はあるものの、意外なほど口溶けがよく、穏やかな酸味と塩気が違和感なく溶け込んでいます。
オリーブ入りのパンということで、食べる前からある程度の味の予想はついていたのですが、ブラックオリーブのダークな酸味とグリーンオリーブの爽快な酸味、そして粒マスタードのスッキリとした酸味と生地に潜む穏やかな酸味。これらがつくり上げる酸味のカルテットには、正直度肝をぬかれましたね。
この酸味によって、生地のおいしさがより鮮明なものとなり、鼻孔へ抜けるオリーブの香りと、後から追いかけてくるその塩気によって、余韻の幅がグッと広げられています。ありそうでない、見事な味の構成だと言えます。