セクシュアルマイノリティ・同性愛/ゲイシーン

学生たちの青春パレード(3ページ目)

3月21日、セクシュアルマイノリティの学生たちが集まって新宿の街をパレードしました。決して大規模ではない手作り感あふれるパレードでしたが、思いがきちんと伝わるような、感動的なパレードでした。

後藤 純一

執筆者:後藤 純一

同性愛ガイド

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発起人の慶太くんへのインタビュー


慶太くん
「セクシャルマイノリティ学生プライドパレード」発起人の慶太くんに、簡単にインタビューをお願いしました。

ーーこのパレードをやろうと思ったきっかけは何ですか?
「僕ともう1人、けいしという友達とが発起人なんです。ずっとパレードがなくてさびしかったなという気持ちがあって。それと、僕がもう大学を卒業しちゃうんで、後輩たちといっしょにパレードを歩きたいという気持ちもあって。学生生活最後の集大成としてやろうと思いました」

ーー卒業記念でもあったんですね。今日は歩いてみて、どうでした?
「自分はゲイだと世間に言えるいい機会。みんなで歩けばぜんぜん怖くないと思えました。今日は、自分がゲイであることの祝福の日だと思いました」

ーーまるで文化祭のような手作り感がいいなぁ、青春だなぁと思いました。それと、少人数だからこその、狭い道も自由自在に歩ける縦横無尽さが面白かったです。
「ありがとうございます。学生ということで、音響設備などは使えなくて、でも、学生らしく、手作りな感じでやりました。音がない分、どうアピールするか、考えました」

ーー「いいとも」とか「あるある探検隊」とか、いろいろ工夫してましたね。
「単にセクマイって言っててもノンケの人には意味が伝わらないだろうと思ったし、真面目過ぎてもあれなので、エロ詩吟とか、僕たちがどんなものにハマってるのかとかも含めて、いろいろ考えてみました。本番では、場の雰囲気を見て、どれをやるか決めてやった感じです」

セクシャルマイノリティ学生パレード
ーーなぜ「ホントの私、デビュー!」というテーマだったんですか?
「僕たちは自分のセクシュアリティを隠して、ありのままの姿で思春期を過ごす事ができずにきたと思います。だからこそ、セクシュアルマイノリティのサークル活動を通して、本当の私でいつわってきた思春期を取り戻す作業をしているんだと思います。そういう気持ちで、今回のパレードのテーマを『ホントの私、デビュー!』にしました」

ーー本当におつかれさまでした。これで卒業じゃなく、今後もがんばってほしいと思います。
「まだまだセクマイ学生サークルは盛り上がっていくと思うんで。あとは後輩たちにがんばってほしいと思います」

ーーありがとうございました!

時間があればもっとゆっくりインタビューしたかったのですが、当日はバタバタしていましたし、翌日から彼は卒業旅行に行ってしまうということで、難しく…。
その代わり、慶太くんという一人のゲイの男の子のこれまでの学生生活を、そしてその成長と活躍のヒストリーを、ここでちょっとご紹介してみたいと思います。

慶太くんは、関西から上京してきて、大学では柔道サークルに入っていたような、ごくふつうの(ゲイにはめずらしく体育会系の素朴な)学生さんでした。
最初はゲイの友達もほとんどいませんでしたが、ピアフレンズに参加し、ゲイの学生サークルに参加するようになり、少しずつ友達ができ、初めての彼氏と別れたり、学ランでパレードを歩いたり、大学生ナイトでセクシーな格好で踊ったり…とても素直で、王道なゲイライフを歩みはじめました。

GLOWが上演した演劇
そんな慶太くんは、そのうちGLOWの幹事長になり、尾辻さんの講演会に参加してインカレネットワーク(Rainbow College)の立ち上げに関わり、大学に尾辻さんを呼んで講演会を開いて自分も壇上で語ったり、彼氏ができたり、ジェンダーの授業でゲストスピーカーとして語ったり、IDAHOの日には学内でパレードをしたり、映画祭に行ったり、尾辻さんの選挙をボランティアスタッフとして応援したり、パレードに学生フロートを出したり、学内での自主制作映画に出演したり、学祭でカミングアウトをテーマにした演劇を上演したり、カリフォルニアに留学してホストファザーズ(ゲイカップル)が結婚できるようになって喜ぶのを間近で見たり、『ハートをつなごう』に出演したり…いつの間にか、シーンの最先端で活躍するようになったのです。

そうやってどんどん活動するようになった彼の、その気持ちの底には、ゲイであるがゆえの生きづらさ、世間の人たちの嘲笑や侮蔑のまなざしに対する悔しさがありました。
彼は簡単に「ゲイでよかった」などとは言いません。みんなが多かれ少なかれ感じているはずのつらさを見ないようにして埋没してしまったら、世の中、何も変わらないからです。
とても真っ直ぐな心とパワーを持った彼の姿を、ゴトウはいつもまぶしく感じていました。

卒業して、彼は社会人になります(東京を離れ、地方に行くそうです)
彼のような志を持った青年が、(多くの人たちがそうだったように)「ゲイコミュニティ」からも卒業してしまうのではないかと心配しながらも、その新たな門出を祝いたいと思います。

慶太くん、今まで本当におつかれさまでした。
新しい生活が素晴らしいものになるよう、そして、学生生活で得た財産を活かして、これからもますます活躍していくことをお祈りします。

(本当は、このパレードに参加した一人一人の方たちに、慶太くんのような思いや、ドラマがあったはずです。そのすべてをお伝えできないことを申し訳なく思います…が、これからも、機会を見つけてご紹介させていただきたいと思っています)
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