このライブ感はちょっとスゴい!
体型を気にして内にこもっていたエドナがドラァグクイーンのようにゴージャスに変身するシーンはこのミュージカルのいちばんの見所です |
たぶん、日本でこんなに熱気に包まれるミュージカルってめったに体験できないと思います。ほとんど女性(とゲイ)のお客さんたちは、歌が終わるたびに拍手を贈るのはもちろん、手拍子をしたり、ゴージャスなドレスで登場するシーンでは思わず歓声が上がったり。「観劇は周りの迷惑にならないようにお静かに」なんて「常識」は無視! 思いっきり『ヘアスプレー』ワールドを楽しんじゃってるのです。
休憩時間には、舞台のフィナーレで出演者全員が踊るダンス・シーンをお客さんもいっしょに踊って楽しめるように、ということで、振付講座も行なわれました(なぜかキティちゃんもいっしょにステージに)。当然、最後には観客も全員スタンディングで、会場が一体となってダンスで盛り上がりました。これぞまさに参加型、自分もステージに立ったような気になる楽しい演出・アトラクションでした。
出演しているキャストのスゴさも際立っていました。カンペキな歌とダンス、そしてコミカルな演技。トニー賞8部門受賞、ブロードウェイでもトップクラス(つまり世界最高)のミュージカルという本物のスゴさに触れて、体が動き出さない人はいないでしょう。
ゲイ的にいちばん気になる出演者は、やはり主人公トレイシーのママ、エドナだと思います。20年も外に出ずに家で洗濯ばかりしていたエドナの最初の登場シーンはリアルに「ヤバい」感じが漂っていてます。だからこそ、ドラァグクイーンのようにゴージャスなドレスを着て変身したときには客席から歓声が起こるわけです。後半、パパとママがラブラブに踊るシーンは、男性と女装した男性のカラミなのですが、二人の愛の深さに思わず涙がこぼれました。
映画でもそうでしたが、「カラード」の出演者の方たちは全員本当によく動き、歌い、リズム感やソウル感の違いをまざまざと見せつけてくれました。特に、モーター(月に一度の「ブラック・デー」でDJを務める女性)の歌は本当に「魂」を感じさせました。R&B/SOUL好きな方は必見です。