暮らしの歳時記/秋の行事・楽しみ方(9~11月)

「暑さ寒さも彼岸まで」と申しますが… いつ?意味や使い方・例文を解説

「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句・ことわざには、深い意味が込められています。「彼岸」の意味や時期、「暑さ寒さも彼岸まで」の意味・由来、言葉の使い方、いつ使うのかを例文とともにわかりやすく解説します。

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句、いつ、どういう意味で使うの?

暑さ寒さも彼岸までと申しますが いつ 意味 2020

「暑さ寒さも彼岸まで」と申しますが…… よく見聞きする慣用句の意味や使い方を知っておきましょう

様々なシーンで交わされるお天気の話題に「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句がよく登場しますが、その言葉に深い意味が込められているのをご存知でしょうか。今回は「暑さ寒さも彼岸まで」を紐解き、意味や使い方、時期はいつなのかなどをご紹介します。
 
<目次>
 

「暑さ寒さも彼岸まで」の彼岸っていつ?

暑さ寒さも彼岸まで いつ 2020 秋彼岸のころに咲く彼岸花

秋彼岸のころに咲く彼岸花。なぜかドキッとするわけは「彼岸花・曼珠沙華が妖しいワケ」から

まずは基本的なことから押さえていきましょう。「暑さ寒さも彼岸まで」の彼岸には、春彼岸と秋彼岸があります。それぞれ、春分の日(3月21日頃)、秋分の日(9月23日頃)を中日として、その前後の3日を合わせた7日間を彼岸といいます。

【春彼岸】
春分の日が3月21日の場合 ※毎年同じ日付とは限りません
  • 3月18日:彼岸入り
  • 3月21日:彼岸の中日(=春分の日)
  • 3月24日:彼岸明け

【秋彼岸】
秋分の日が9月23日の場合 ※毎年同じ日付とは限りません
  • 9月20日:彼岸入り
  • 9月23日:彼岸の中日(=秋分の日)
  • 9月26日:彼岸明け

春の彼岸を「彼岸」「春彼岸」と呼ぶのに対し、秋の彼岸を「のちの彼岸」「秋彼岸」と呼びますが、いずれの彼岸もお墓参りに行く風習があります。

なぜ「暑さ寒さも彼岸まで」というの?

暑さ寒さも彼岸まで 秋彼岸を過ぎると太陽の出番が短くなり、暑さも和らぎます

秋彼岸を過ぎると太陽の出番が短くなり、暑さも和らぎます

では、なぜ「暑さ寒さも彼岸まで」というのでしょう? 春分や秋分は二十四節気のひとつで、太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになります。秋は秋分の日(=彼岸の中日)を境に日が短くなっていき、秋の夜長に向かいます。つまり、太陽の出番がどんどん短くなるので、暑さも和らいでいくわけです。春はこの逆ですね。

しかし、昼と夜の長さが同じだからといって、春分と秋分の気候が同じになるわけではありません。暑さの名残で秋分のほうが10度以上も気温が高いのですが、厳しい暑さや寒さも目処がつく頃なので、「暑さ寒さも彼岸まで」といわれるようになり、慣用句として定着していきました。

「暑さ寒さも彼岸まで」の「彼岸」とお墓参りは関係あるの?

暑さ寒さも彼岸まで 太陽が真西に沈むとき、彼岸と此岸が最も通じやすくなります

太陽が真西に沈むとき、彼岸と此岸が最も通じやすくなります

「暑さ寒さも彼岸まで」の彼岸にはお墓参りに行く風習がありますが、それはいったいなぜでしょう? 実は、春分と秋分の太陽に関係があります。

仏教では、生死の海を渡って到達する悟りの世界を彼岸」といい、その反対側の私達がいる世界を此岸(しがん)」といいます。そして、彼岸は西に、此岸は東にあるとされており、太陽が真東から昇って真西に沈む秋分と春分は、彼岸と此岸がもっとも通じやすくなると考え、先祖供養をするようになりました。

迷い、悩み、煩悩に惑わされている人間が、悟りの世界と通じるときですから、暑さ寒さやそれに伴う様々なつらさも、彼岸のころには和らいで楽になると考え、励まされていたのでしょう。自然に寄り添う暮らしの中で、「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉の深さが身に沁みます。

「暑さ寒さも彼岸まで」の意味と使い方・使う時期・例文

暑さ寒さも彼岸まで 移ろう自然

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉に、様々な思いが重なります……

それでは、「暑さ寒さも彼岸まで」の意味と使い方・使う時期・例文をまとめてみましょう。

■意味
厳しい残暑や寒さも彼岸の頃には和らいで過ごしやすくなる、という意味。日本人の季節に対する感覚を表現しています。

■使い方・使う時期・例文
季節の移ろいの目安として、その時々の状況に合わせ<肯定><否定><期待や願望>などの使い方ができます。使う時期は、春彼岸の3月頃、秋彼岸の9月頃が多いです。

<肯定の意味>
  • 今年は寒さが厳しくて大変でしたが、「暑さ寒さも彼岸まで」と言うように暖かくなってきましたね。
  • 「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、残暑もおさまり涼しくなってまいりました。

<否定の意味>
  • 「暑さ寒さも彼岸まで」と申しますが、今年はなかなか暖かくなりませんね。
  •  昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、今年はまだ残暑が続きそうです。

<期待や願望の意味>
  • 「暑さ寒さも彼岸まで」と言うように、もうじき楽になるから頑張りましょう。

昔と比べて気候が変化しており、従来の季節感とのずれを感じることも多くなりました。暑い寒いだけではなく、上記の通り「暑さ寒さも彼岸まで」の背景にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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