梅雨といえば憂鬱!? 実はとても綺麗で美しい梅雨言葉や季語・俳句
あなたにとって梅雨といえばどんなイメージですか? 実はとても綺麗で美しい梅雨言葉や季語を知るとイメージが変わるかも
梅雨の語源・由来
梅の実が熟す頃と梅雨は重なります。「梅雨」という言葉の語源や由来とは?
中国で、黴雨(ばいう)から梅雨(ばいう)へ
雨でじめじめすると黴(かび)が生えやすいことから、黴をもたらす雨という意味で「黴雨(ばいう)」になりました。その後、あまり良い語感ではないため、発音が同じ「梅」の字をあてて「梅雨(ばいう)」と書き、梅の実が熟す頃に降る雨という意味になったといわれています。
日本で、梅雨(ばいう)から梅雨(つゆ)へ
「梅雨(ばいう)」という言葉は、奈良時代頃には日本に伝わっていたと考えられています。その後、江戸時代頃に「つゆ」と言うようになったといわれています。日本で「つゆ」と言うようになったのは、次のような説があります。
- 「露(つゆ)」からの連想
- 黴によって物が損なわれる「費ゆ(つひゆ。損なわれるの意)」に由来
- 梅の実が熟す頃なので「つはる(熟すの意)」に由来
- 梅の実が熟して潰れる頃なので「潰ゆ(つゆ。潰れるの意)」に由来
梅雨の異称
梅雨を表す言葉「さみだれ」ということばの響きもうつくしい……
「さ」は旧暦の5月(現在の6月頃)をさし、「みだれ」は「水垂れ」という意味。梅雨という言葉が伝わる前は五月雨でした。
■梅霖(ばいりん)
「霖」は、ながあめという意味です。
梅雨の様子を表す言葉
日本人の感性が、雨にさまざまな表情を見出します
本格的な梅雨に入る前のぐずついた天気のこと。
■入梅、梅雨入り
梅雨に入ること。梅雨に入る時期は地域ごとに異なりますが、立春から数えて135日目(毎年6月11日ごろ)を「入梅」といい、暦の上ではこの日から梅雨に入ります。これを雑節といいますが、梅雨入りの時期が農作業に大きく影響したので、入梅は重要な目安だったのです。
■五月晴れ、梅雨晴れ、梅雨入り晴れ
梅雨の間の一時的な晴天のこと。
■男梅雨、女梅雨
「男梅雨」は、晴天が多いが降ると激しい梅雨や、ザーッと降ってカラッと晴れる梅雨のこと。
「女梅雨」は、弱い雨がしとしと続く梅雨のこと。
■空梅雨、旱梅雨(ひでりづゆ)、照り梅雨、枯れ梅雨
雨量の少ない梅雨のこと。
■戻り梅雨、返り梅雨、残り梅雨
梅雨明け後に再び雨が続くこと。
七夕の雨
逢瀬の夜を切なく濡らす「洒涙雨」
■洒涙雨(さいるいう)
新暦では梅雨の最中に七夕がやってきますが、「洒涙雨(さいるいう)」は七夕に降る雨のこと。織姫と彦星が年に1度の逢瀬のあとで流す涙雨、あるいは逢瀬が叶わなかった哀しみの雨といわれており、七夕の雨の切なさが伝わってきます。
※織姫と彦星の恋物語は「なぜ「七夕」を「たなばた」と読むの?」をご覧ください。
梅雨の季語
梅雨は夏の季語ですが、それ以外にも梅雨にまつわる季語がたくさんあります。梅雨、入梅、梅の雨、五月雨、走り梅雨、梅雨時、青梅雨(あおつゆ)、梅雨空、梅雨雲、梅雨雷、梅雨寒、梅雨冷、荒梅雨、梅雨晴、五月晴、空梅雨、旱梅雨(ひでりつゆ)、涸梅雨(かれつゆ)、乾梅雨(からつゆ)、送り梅雨、返り梅雨、戻り梅雨、梅雨明け
黒南風(くろはえ)、虹、井水増す、濁り井、五月川、梅雨出水、出水川、五月波
雨蛙、青蛙、蝸牛(かたつむり)、紫陽花、手毬花(てまりばな)、七変化
夏合羽(なつがっぱ)、水見舞
※梅雨に対し、春の長雨を菜種梅雨、秋冬の長雨を山茶花梅雨といいます。
梅雨にまつわる有名な俳句
- 五月雨をあつめて早し最上川(松尾芭蕉)
- 青梅雨の雲しりぞけつ白鷺城(水原秋櫻子)
- 正直に梅雨雷の一つかな(小林一茶)
- うれしさや小草影もつ五月晴(正岡子規)
- 田の上を小舟行くなり梅雨出水(青木月斗)
- 雨蛙黒き仏の宙に鳴く(山口誓子)
- 白露や角に目を持つかたつぶり(服部嵐雪)
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