桜言葉を使って目指すは風流美人!
日本の春を彩る桜は、歌に詠まれたり、絵画や文様のモチーフとしても広く親しまれてきました。平安の昔より「花」と詠まれれば「桜」を意味するほど特別な存在だったように、日本語には桜にまつわる美しい言葉がたくさんあります。私はこれを「桜言葉」と名付けました。ひとつひとつは昔からある言葉ですが、今でも見聞きすることが多いので、いくつか覚えてみてはいかがでしょう。メールや会話にさりげなく使ってみれば、たちまち風流美人! 春の話題には桜が不可欠ですから、誰にでもその瞬間が訪れます。
現代美人の言い回しを風流美人に置き換えた例文も用意しました。参考にしてみてください。
ビニールシートも雅な空間になる桜言葉
花時/桜狩/花筵花が咲く頃を「花時(はなどき)」と言いますが、特に桜が咲く頃をさし、人々は花時になると「桜狩(さくらがり)」に出かけて和歌を詠んだりしていました。この桜狩が行楽としてくだけた表現になったものが「花見」で桜の下に「花筵(はなむしろ)」を敷き、食事をしながら桜を見物する今のスタイルになったそうです。 ■現代美人
「わぁ、ちょうど見頃! 花見に来た甲斐があったじゃない。それじゃ、レジャーシートでも敷きましょう」
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■風流美人
「まぁ、花時を迎えて桜狩に来た甲斐があったわね。では、花筵を敷きましょう」
花びらを風流に見たてた桜言葉
花盛り/零れ桜/桜吹雪/花筏/花の浮き橋/桜影/桜陰満開の桜は「花盛り」、満開になって散る桜を「零れ桜(こぼれざくら)」、花びらが舞い散るさまは「桜吹雪」、水面に散った花びらが吹き寄せられて流れていく様子を「花筏(はないかだ)」と言います。なるほど、筏流しに似ていますよね。また、水面に散った花びらが敷きつめられた様子を浮き橋に見立てて「花の浮き橋」と表現します。
それから、水辺の桜が水面に映る様子を「桜影」といい、桜の木の陰を表す「桜陰」と分けて使います。 ■現代美人
「まさに満開! 風で花びらが舞って綺麗ね。あっ、花びらが流れていく……。見てっ、川面に花びらがいっぱいよ」
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■風流美人
「まさに花盛り! 桜吹雪も綺麗ね。あっ、花筏……。見てっ、花の浮き橋よ」
疲れにも風情を感じる桜言葉
花衣/桜人/花疲れ花見の時に着る衣装を「花衣(はなごろも)」、桜を愛でている人のことを「桜人(さくらびと)」、花見に行って疲れてしまうことを「花疲れ(はなづかれ)」と表現します。花疲れだなんて、なんとも風情のある言葉ですね。 ■現代美人
「花見客が多くて疲れるわ」
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■風流美人
「たくさんの桜人で花疲れしたみたい」
魅惑の夜に誘うセリフも桜言葉で
夜桜/花あかり/花篝人の心を魅了する桜。夜になれば「夜桜」となりますが、桜の花の白さで、あたりがぼんやり明るく見えることを「花あかり」と表現します。また、夜桜を見るために焚く篝火を「花篝(はなかがり)」といいます。 ■現代美人
「夜桜ってそこだけ明るいから気になるわね。ちょっと遠回りして観に行ってみない?」
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■風流美人
「花あかりに誘われて、少し遠回りしてみませんか?」
お天気会話に効く桜の花言葉
花曇/花冷え/桜雨/桜流し/花の露/花の雫/残花桜の頃は天気が変わりやすい時期でもあるため、なかなかすっきりと晴れない様子を「花曇(はなぐもり)」、急に冷え込む寒さを「花冷え」といいます。
それから、桜の花にかかる雨を「桜雨」といい、花びらを散らしてしまう雨や水に流れていく様子を「桜流し」と表現します。花の上に宿る露は「花の露」、花から滴り落ちる雫は「花の雫」です。
やがて時が経ち散り残ったものを「残花(ざんか)」といい、春の名残を感じさせます。 ■現代美人
「今日の雨で桜も散ってしまいそうね」
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■風流美人
「今日は桜流しになりそうね」
これ以外にも、桜にまつわる言葉はたくさんありますが、情緒豊かな美しい言葉として、”さりげなく”(←これ重要)桜言葉を活用してみてはいかがでしょう。使い手も聞き手も心豊かになれる、春の楽しみです。
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