桜咲くなか、工場見学
4月7日、久しぶりに白州蒸溜所へ行ってきた。標高が約700メートル。高地にある世界でも稀な蒸溜所を物語っていたのが桜だ。最寄りの中央本線小淵沢駅周辺はさらに標高が高く、これから満開を迎えようとするところだった。駅からタクシーで白州蒸溜所へと下るほどに桜が見事となる。東京はあらかた散ろうとしていたところだったので、気候の違いをいつになく意識した。
それとともに地球温暖化も意識する。10年ほど前、いま以上に白州へ出かけていた時がある。その頃は4月20日前後に桜が満開を迎えていたように思う。随分と早まっている。
上/チャーの開始。この後。さらに燃え上がる。下/チャーの後の樽の内面。 |
さてサントリーの山崎、白州両蒸溜所ではこの4月から12月までの間「五感で楽しむシングルモルトセミナー」を開催している。その見学に白州へ出かけた。
『産地別シングルモルトテイスティング講座』に出席したのだが、これが思いのほか中身が濃い。しかもウイスキーに馴染みのない人もすんなりと溶け込める内容で、構成もよくできている。
内容濃く、なんと1,000円
まず工程見学からセミナーははじまる。仕込み、発酵、蒸溜、貯蔵といった工程を順にまわって説明を受ける。稼働中のいま現在仕込まれているモルト原酒の熱を感じながらの見学は、臨場感がある。とくに樽の内面を焦がすチャーの工程をじっくりと見学できるのは白州ならでは。ウイスキー通を気取っている人でも、チャーのことは意外と知らない。それとともに内面を焦がす意味合いや、焦がしの度合いが熟成にどう影響するかも知らない人が多い。
これは非常にためになる見学である。
それが終わるとセミナー会場に移っての試飲となる。会場に入って驚いた。テイスティンググラスが各々のテーブルに4つ。白州、山崎、マッカラン、ボウモアの12年が注がれているではないか。
『産地別』と謳われているので当然のことなのだが、私は近くにいたサントリー広報部の安東さんという爽やかフェースの美男子ちゃんに「このセミナー、いくら払うの」と聞いた。
すると彼はにこやかな笑みを爽やかフェースにたたえながら、平然と「1,000円です」と言ってのけた。
「ええっ」と私はのけぞった。安い。安すぎる。だってテーブルの上には、シングルモルト白州12年が4人に1本といった配分で並んでいるのだ。それも飲んでいいらしい。(次ページへつづく)