銀座のハイカラなレストラン

銀座界隈には、老舗と呼ばれる店が多くあります。関東大震災から復興した銀座に彩りを添えた、ハイカラなレストランの数々。その味は多くの人を引きつけ、80年以上を経た今でも変わらず愛され続けています。世界に誇れるグルメ都市となった東京の味覚の歴史はここから始まったといっても過言ではないでしょう。今回は日本人の舌を育んだ味を紹介していきたいと思います。足を運んだのは銀座の並木通りにある三笠会館本店。地下1階から7階までフレンチ、鉄板焼き、中華など様々なレストランがあります。その中で今回選んだのは1階にあるイタリアンバールのLA VIOLA(ラ ヴィオラ)。こちらでは、イタリアンメニューの他に三笠会館に古くから伝わるメニューも楽しめるのが魅力のひとつ。

昭和初期から続く名物料理

若鶏の唐揚げ1050円
三笠会館の名を世に知らしめた伝統の料理があります。それが若鶏の唐揚げ(1050円)。現在では、家庭の食卓でもお馴染みの定番料理。昭和初期に銀座で売り出された時にはさぞかしハイカラな味だったのでしょう。思い出の味というものは誰しも忘れがたいもの。80歳を過ぎたご婦人も「銀座に来るといつも家族でこの唐揚げを食べたのよ」と今でも店を訪れてくれるそう。

さて、そのお味は……。片栗粉をまぶされた衣はカリッと音がするほどの香ばしさ。秘伝のタレは醤油をベースに日本酒ではなく焼酎を使っているため、甘さを押さえたドライな仕上がり。若鶏の胸肉、モモ肉、手羽の3種類の肉を盛り合わせているが特徴です。正直に言って、この唐揚げは特別なインパクトがあるというわけではないのです。

ただ何気なく、きちんと旨い。

鶏肉の品質から、タレや粉のまぶし方、揚げ時間等々全ての仕事がきちんとなされているのがしっかりと伝わってきます。三笠会館の厨房に立つ料理人の中でもこれを作れる人は数少ないのだそう。技術と味の伝承がなされているからこそ、年月を経てもお客を引きつける味になるのだと、じみじみと感じました。この唐揚げ、不思議なもので、一度知ってしまうとふと思い出して食べたくなる。知らず知らずのうちに、私もこの料理に心を捕らえられてしまったようです。

さて、次ページでは唐揚げと対をなす伝統の料理、インドカレーを紹介します。