フォアグラにも一手間!
「オムレツをお願いします!」ビュッフェ台にいるシェフにお願いすると、すぐに作りはじめてくれました。2センチ角程度の賽の目に切ったフォアグラを7~8個フライパンに投入。そしてすぐさま卵をジャ~。少し火が通ったところで、クルリとまとめあげ、あっという間に美しいオムレツの完成です。あまりの手際のよさに、見入ってしまいました。
フルフル揺れるオムレツを割ってみると……。予想通り、絶妙な半熟加減! 口に含むと、卵の甘い香りがふわっと広がります。そして思わずうなってしまったのが、フォアグラ。舌には旨味とともに、しっかりした塩分も感じます。これは、フレッシュなフォアグラをそのまま使っているのではなく、一度テリーヌに仕立ててあったのです。なるほど! 確かにフォアグラをそのままオムレツに入れてしまっては、まったりとし過ぎて散漫な味になってしまったことでしょう。テリーヌのしっかりした塩分が卵の優しい味を引締めています。数日間煮込んだというフォンドヴォーソースが深みをプラス。このオムレツが話題になるのは、華やかな食材を使っているというばかりではありません。確かな技術とセンスによるものなのだと実感しました。
少数精鋭実力派がそろう料理
こちらのビュッフェ台には常時30種ほどの料理が並びます。決して品数が多いわけではありません。しかし、その一品一品がどれもきちんとした食材や味付けでクオリティの高さを保っているのです。例えば、スペインの漁師料理カンバスは、ガーリックとオリーブでソテーした後、ブランデーでフランベ。海老の甘さやプリっとした食感に、ほんのりブランデーの香りがただようオトナの味わい。何度もとりに行ってしまった料理でした。
どこからともなく、ぷ~んと良い香りが漂ってきました。この香りには抗いがたい魅力があると思う。それはカレーです。すでにお腹はいっぱいですがつい手を伸ばしたくなってしまいます。甘みがありながらもスパイシーな牛肉とトマトのカレーは、上品で深みも充分。「さすがホテルのカレー!」と納得の逸品でした。
ビュフェで最後のお楽しみは何と言ってもデザート!
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