和菓子/甘味処

なぜ台形なの?亀戸天神「船橋屋」の「くず餅」(2ページ目)

関東育ちの私にとって「くず餅」といえば発酵させた小麦でん粉で作る、歯切れの良い餅のこと。どことなく不思議な食べ物の正体を知るべく、東京・亀戸天神門前の「船橋屋」の工場にお邪魔してきました!

原 亜樹子

執筆者:原 亜樹子

和菓子ガイド

「蒸し」て「冷まし」て「カット」する

湯がく
ボーメ計で濃度をチェックし、
最後のふるいにかけた原料は
次の「湯がく」工程へ。
3階ではくず餅の製造からカットまでを行います。まずは濃度を決めた原料を96℃前後の湯で湯がきます。水で濃度を調整しながらの手作業です。

布
木枠に晒しを張るのは手作業。
1枚1升(1.8リットル)の生地が入る。
出来上がった生地は、自動充填機で木枠へ流し、コンベヤーで蒸し機へと移動。

蒸す
蒸し機の長さは約14m。
12~13分かけて蒸し上げる。
蒸し機の中もコンベヤーで進みます。まだ液体状態の生地が波打った状態で固まらないように、入り口付近は低めの温度に、徐々に温度を上げて出口付近は約100℃に設定されています。

蒸し上がり
蒸し上がったくず餅は、
すのこへ移して常温に冷ます。
蒸し上がりの状態を確認するのは職人の手と目。蒸し機から出てきたところを直接触り、くず餅の弾力を確かめます。私も消毒した手を水に付けて触ってみたところ、ぷよぷよで赤ちゃんの肌のように滑らかでした。

カット
台形にカット。
職人の目と口で最終チェックの後、箱詰めされる。
最後に船橋屋の特徴である「台形」にカットして箱詰めをして完成です。15ヶ月と数日かかったくず餅作りですが、その命はわずか2日。日持ちの短い生ものなので、販売エリアは限られます。

次ページでは、「船橋屋のくず餅はなぜ台形?」をご紹介します>>
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