暑い夏には冷たい水羊羹などに押されがちな最中ですが、「芝神明榮太樓」の「江の嶋」は別。貝殻の形が涼しさを演出し、手頃な小ささはもっと食べたいと思わせる。5種類の貝形の最中の美味しさは、丁寧な仕事の賜物です。
(目次)
P1 「芝神明榮太樓」
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土地にちなんだお菓子2種類芝大神宮近くの「芝神明榮太樓」
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2007年の夏に改装し、 すっきりとした印象に |
増上寺近くに店を構える「芝神明榮太樓」。東京・日本橋の榮太樓總本鋪からののれん分けで、明治18年から続く老舗です。
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かつての三田支店の看板 「三田」の文字をカットして 店内に飾っている |
戦前は三田と浅草にも支店があったそうですが、現在はここのみ。4代目の現ご主人、内田吉彦さんを中心に極々少人数で菓子作りをしています。
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文士尾崎紅葉が名付け親 「江の嶋」 同名の箏曲に由来 |
明治35年に考案されて以来の看板商品が最中「江の嶋」。1口大の5種類の貝殻形の最中には、それぞれ異なる自家製の餡が詰められています。
あわびには粒あん、赤貝にはごま餡、ほたてにはこし餡、はまぐりにはゆず餡、牡蛎には白あん。どの餡も滑らかでくどさのない仕上がりです。
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個包装を始めたのは現ご主人。 保存性も高まった。 |
しっかりと焼かれた香ばしい最中皮は、甘い餡と絶妙のバランス。出来立ては皮の香ばしさが、数日経つと皮と餡との一体感が楽しめます。『金色夜叉』などで知られる尾崎紅葉が名付け親というエピソードが最中の美味しさを一層引き立てるようです。