島根県松江市を訪ねてきました。茶人大名、松平不昧公(松江藩7代藩主)縁の松江は、京都、金沢と並び称される和菓子処。お茶と主菓子(上生菓子)が日常生活に溶け込んでいる松江の和菓子は、美味しく美しいものばかりでした。そんな松江の和菓子事情を、2回に分けてお届けします。第1回目は松江の和菓子職人に習う、和菓子作り体験です。
「一力堂」での和菓子作り体験
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一力堂のご主人から習った 主菓子3種 |
最初にご紹介するのは、「一力堂」での和菓子作り体験。「一力堂」は、初代、三津屋作兵衛のころには松江藩御用達も勤めたお店です。今回、本店内の小さなスペースでご主人自ら教えてくださったのは、写真の3種類の主菓子。左から「菊の花」、「かごの上ではねる鮎」、「椿の花」を表した煉切(こし餡に求肥等を煉りこんだもの)です。
80歳を超えるご主人から、お店の歴史や、不昧公好みの和菓子にかける思いなどを伺いながら習う和菓子作りは、格別なものがありました。特別な道具はほとんど使わず、櫛やピンポン玉などを利用して作る主菓子作り体験からは、ご主人の「家庭でも作れるように」という思いが伝わってきます。
貴重な資料
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一力堂に伝わる 「沖の月」の木型
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一力堂ではご主人のご好意で、お店に伝わる貴重な資料を数多く拝見させていただきました。その一つが「沖の月」の木型。「沖の月」とは、一力堂を代表する菓子、「姫小袖」の原型です。「姫小袖」は、和三盆糖と皮むき餡で作る打菓子で、しっとりとした食感と上品な甘みがあります。
古い木型を拝見した後は、「姫小袖」が一層味わい深く感じられました。なお、一力堂での和菓子作り体験は、予め電話等で希望の日時を予約する必要がありますのでご注意ください。