和菓子/上生菓子

「いいだばし萬年堂」ひな祭りの和菓子(2ページ目)

3月3日、雛祭りは五節句の一つ。今回次回と2回に分けて、雛祭りならではの和菓子をご紹介します。まずは「いいだばし萬年堂」からひし餅形のお菓子を始め、愛らしい和菓子の数々をお届けします。

原 亜樹子

執筆者:原 亜樹子

和菓子ガイド

雛祭りにもぴったりの上生菓子

花てまり
左は「桃花」
右は「花てまり」
写真左は「桃花」。こし餡入りの真っ白な薯蕷饅頭には、桃の木が描かれています。写真右は「花てまり」。2色に染め分けた道明寺で白餡を包み、餅米から作る氷餅をまぶしています。どちらも女の子の節句らしい愛らしいお菓子です。

たちばな
左は「たちばな」
右は「うば玉」
続いての上生菓子は、写真左の「たちばな」。白餡を包んだこなしです。菓祖、田道間守が垂仁天皇の勅で常世の国から持ち帰った非時香菓(ときじくのかくのこのみ)とされる橘(参考『広辞苑』)は、お菓子と深い関わりがあります。上生菓子としては、雛壇に飾る花が橘と桜であることから、雛祭りによく目にします。

写真右は「うば玉」。「鳥羽玉(うばたま)」とは、ヒオウギという植物の、黒くて丸い種なのですが、この意匠は和菓子に多く用いられてきたもの。中餡にもこなしにも黒砂糖が入ったうば玉は漆黒で、表面は非常に滑らか。洗練された美しいお菓子です。


季節の上生菓子

菜種
左は「菜種」
右は「うら桜」
写真左は、小倉餡を包んだきんとん(餡玉の周囲にそぼろ状の餡をつけたもの)「菜種」。若々しい緑と黄色が、菜の花畑を思わせます。写真右は、こし餡を包んだこなし「うら桜」。共に雛壇に飾られる橘と桜。上生菓子でも合わせてお楽しみください。

ほぼ全てのお菓子を、型を使わずに手で形作る同店のお菓子からは、優しさと温かみが感じられます。「御目出糖」を始めとする萬年堂が代々大切に繋いできたお菓子は、ずっと変わらずに伝えていくという思いを持つ一方で、新しい流れにも目を向け、クリスマスやバレンタインの時期などに合わせた上生菓子も作っています。

息子さんや奥様の意見を取り入れた愛らしい上生菓子は、若い世代にも人気があるとのこと。米の粉や小豆で作るため、脂肪分の多い洋菓子と比べてヘルシーとされる和菓子は、気になるものの、きっかけがなくてなかなか手が出ないという声も。クリスマスの上生菓子は、そのような人たちが、和菓子の魅力に触れるきっかけとなりそうです。
次回は老舗「とらや」の雛祭りのお菓子をご紹介します。どうぞお楽しみに。


<店データ>
■いいだばし萬年堂
所在地:新宿区揚場町2-19 徳ビル 1F
TEL:03-3266-0544
FAX:03-3266-0545
営業時間:10:00~19:00(平日)、10:00~17:00(土曜)
定休日:日曜、祭日
(3/3、5/5、彼岸の中日、12/25~31は営業)
地下鉄飯田橋駅C1出口すぐ、
またはJR飯田橋駅東口より徒歩約3分
地図:Yahoo!地図情報
予算:「三段高麗餅」1個315円より
「上生菓子」1個315円
「御目出糖」1個252円より


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