3月3日、雛祭りは五節句の一つで、上巳(じょうし)、重三(ちょうさん)、桃の節句、雛の節句、草餅の節句とも呼ばれ(参考『広辞苑』)、女の子のお祝いの日として定着しています。今回と次回の2回に分けて、雛祭りを華やかに彩るお菓子をご紹介します。

いいだばし萬年堂

御目出糖
左は「御目出糖」
右は抹茶入り「高麗餅」
第1回目にご紹介するのは、神楽坂からすぐの場所に店を構える「いいだばし萬年堂」の雛祭りのお菓子。同店は江戸時代前期に京都で創業し、明治5年に東京へ移転した銀座の「萬年堂本店」11代目の息子さんが、平成5年に独立開業したお店です。

お赤飯そっくりの蒸し菓子「御目出糖(おめでとう)」は萬年堂を代表する銘菓。こし餡に餅粉などを混ぜ合わせたものをそぼろ状にし、蜜漬けの豆を乗せてお赤飯そっくりに蒸し上げたお菓子です。また、京都の流れを汲む同店の店頭には、京都でよく見られる、こし餡に小麦粉(同店は餅粉)などを混ぜて蒸したものを揉み込んで作る「こなし」などの上生菓子が並びます。

ひし餅形の「三段高麗餅(こうらいもち)」

三段高麗餅
名物「御目出糖(おめでとう)」
をひし餅形で
最初にご紹介するお菓子は、ひし餅の形をしたお菓子「三段高麗餅」です。「雛祭りに菱餅を飾る風習は江戸時代から見られる。厄除けの意で草餅を使い、緑と白の組み合わせにすることが多く(引用『事典 和菓子の世界』中山圭子著)」、とあるように、ひし餅を雛祭りに飾る習慣は古くからあるものです。

私の実家では食べやすさを考えてか、ひし餅の代わりにひし形の甘いおこしを飾っていました。ネチョネチョと歯にくっつくおこしは家族の好みに合わず、いつも残っていたことを思い出します。「三段高麗餅」の外見は、かつて我が家に飾られていたひし形のおこしと似ていますが、歯にくっつく心配のない、モチモチとした蒸し菓子です。

三段高麗餅は「御目出糖(おめでとう)」と同じ製法ですが、こし餡の代わりに、北海道の大福豆で作る白餡が使われます。もっちりとした食感が特徴で、そのまま食べても美味しいのですが、私のお勧めの食べ方は、蒸し器で少し温め直すこと。日が経って多少固くなっていても、蒸し直すことでもっちりとした食感がよみがえります。


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