そば/そば関連情報

理想の蕎麦器を考えてみた

使いやすい蕎麦の器とは何かを追い求め、体系化してみたところ、佐賀県の産地再生事業計画として採用された。無有というブランド名で発売される

執筆者:井上 明

理想の蕎麦器を考えてみた


国際的にブレイクしはじめた蕎麦、
そろそろ、器について機能的な側面からも考えるべき時代にさしかかっているのではないでしょうか。



当然のことですが、温かいそばは、汁と麺が同時に提供されて一杯の料理として成立します。丼を用いる温かいそば、そして最近流行のぶっかけや冷がけは、もりそばよりも提供量と器の関係が厳密です。当然、小さい器では大盛りにした麺は盛りつけられませんし、大盛りの容器を使って並盛りにしてしまうと、なにかとても中途半端な雰囲気になってしまいます。だから、大盛りを出す場合、お店は大盛り用と並盛り用の二系統の丼を用意するのが一般的です。

ところが、ややこしいことに、「大盛り」の概念が、大都市を中心としたエリアと、それ以外の地域では大きく異なるということです。
すなわち、都会で大盛りの盛りつけは、地方ではごく普通の量であったりしますから、地方の大盛り用として、かなり大きな容積をもつ丼が必要ということです。

ところで、皆さんは、汁の張り込み量を50ml、生麺の量を50gプラスして盛りつけるために、丼の大きさはどのくらい変化するか想像できますか?
直径1cm程度なんてとんでもない。実は、ほんの数ミリサイズを変更するだけで、器の容積はがらりと変わってしまうんです。

そば店が汁を盛りつけるとき、スープレードルという業務用のお玉を使います。これには定番サイズがあって、汁を用意した大きな寸胴からそのお店が決めた容積で人数前を手鍋に移しますから、とてもスピーディに公平な盛りつけができるという仕掛けになっています。

種物用の定番サイズとしては、360ml、400ml、500mlがあります。実はこれ、小さい方から、都市型の並盛り(360ml)、都市型の大盛りまたは地方の並盛り(400ml)、地方の大盛り(500ml)という感じで使われております。だから、最初から器のほうでこれらのレードルサイズにほどよく合わせたデザインのものがあればよかったんですが、実は、そういった気の利いた器が、これまでほとんどなかったのです。
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