「TCA吸着」の効果は?
「似たもの同士」はほかにもいる。
TCAの他にワインの成分では、例えばフェノール類などがラップフィルムに吸着される可能性は高い。他の成分とその量によって先に何かが吸着されてしまい、TCAがあぶれることもあるので、ワインによって「コルク臭除去効果」はかなりばらつきがあるのではないだろうか。また、香味成分の一部がラップに吸い取られて、ワインの風味が本来と変わってしまうことも考えられる。
もし、あなたがさっそく「ブショネ」ワインにラップを入れて実験してみるなら、注意して欲しい。食品用ラップはあくまで食品を包む目的で作られており、商品によって成分や仕様もさまざまだが、いずれにせよワインに漬けるという用途は想定外である。実験したワインが飲んで安全かどうかは不明なので、元のワインとグラスを並べて香りの変化を比べるだけにとどめたい。
この実験のような原理を生かした商品はすでにあるが、「コルクト」ワインのTCA除去が簡単・確実にできるような商品が手軽に手に入るようになれば、高価なワインにコルク臭があることを発見して泣かされる苦労がなくなるのだが――。
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