フォアグラを配置する
ひとつの絵画のような前菜 |
薄ピンク色にねっとりと仕上がった鴨のフォアグラが、セップ茸のチュイル(薄焼き生地)で挟まれている。赤ワインのジュレ(ゼリー)をリボンのように巻き、となりにイチジクとオレンジを煮詰めたマルムラード、手前側にはピスタチオ入りのブリオッシュそしてほろ苦い葉をフランボワーズのヴィネグレットで和えたサラダが配置されている。
フォアグラと相性のいい素材が、惑星か何かのように連鎖的に配置されている。何か意味ありげなオブジェのようでもある。フォアグラと他のものを行ったり来たりするように食べてみると、組み合わせによってフォアグラの味わいが違って感じられる。だがブリオッシュとサラダだってなかなか合うし……これはもういっそのこと全部一緒に食べてみようかと思う。なるほど、何でもありの「ままごと」である。
2006年アルザス(マルセル・ダイス) |
白い花や果実のフルーティーさと、ハチミツのような熟した風味がある一方で、かんきつ系のほろ苦さや酸味も充分。この風味が、口中で料理の甘味や脂に柔かく寄り添う。