ワイン/特別な日の高級ワイン

デュジャックとヴィレーヌ:大物の共演(3ページ目)

ブルゴーニュの生産者から2軒が来日セミナーを行い、それぞれトップクラスのワインは最新ヴィンテージについて、さらに両者の共同プロジェクトについて語った。

執筆者:橋本 伸彦

家族でワインを造る

次はデュジャックの赤ワイン2種。ジャック・セイス氏が40年以上かけて不動の評価を得ている生産者デュジャックである。その父のワイナリーを大学時代(1994~1998年頃)から手伝い始めたというジェレミー・セイス氏は、2008年にはドメーヌの代表となり父の仕事を徐々に引継いでいる。彼によるとデュジャックの哲学は「家族で話し合う」そして「ワイナリーではなく、畑でしっかり仕事をすること」だという。つまり、良いワインに不可欠なのは良いブドウであり、そのために最善を尽くせといった意味である。

「家族で話し合ってワインを造っている」とセイス氏

2006年『シャンボール・ミュジニー』(デュジャック・フィス&ペール)(左)と2007年『モレ・サン・ドニ』(ドメーヌ・デュジャック)
彼が始めたネゴシアン(原料を買い入れて自社ブランドのワインを販売する)部門が『デュジャック・フィス&ペール』で、基本的には栽培家に望みどおりのやり方でブドウを育ててもらう。ブドウの重量で支払が決まるのが一般的だが、彼は面積当たりの金額を支払って収量を下げてもらう。

デュジャック・フィス&ペールの2006年『シャンボール・ミュジニー』はまだ若々しい色合いで、よく熟したプラムのしなやかな果実味と芳香がある。全体にバランスや調和が取れており、余韻も長い。いま飲んでもいいが、少し熟成させても深みが増しそうである。セイス氏によるとこの年は「リッチな果実味が特徴」という。

本拠地ドメーヌ・デュジャックの2007年『モレ・サン・ドニ』はどうだろうか? 先ほどとは対照的に、ほろ苦さやスモーキーさ、シナモンなど乾燥スパイスのような風味が勝っている。果実味も充分あり、全体として整った構成の味わいだがややスリムだ。この年は「ミネラル感とやや軽い渋味」が際立つので、早めに楽しめるタイプだろう。

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