家族でワインを造る
次はデュジャックの赤ワイン2種。ジャック・セイス氏が40年以上かけて不動の評価を得ている生産者デュジャックである。その父のワイナリーを大学時代(1994~1998年頃)から手伝い始めたというジェレミー・セイス氏は、2008年にはドメーヌの代表となり父の仕事を徐々に引継いでいる。彼によるとデュジャックの哲学は「家族で話し合う」そして「ワイナリーではなく、畑でしっかり仕事をすること」だという。つまり、良いワインに不可欠なのは良いブドウであり、そのために最善を尽くせといった意味である。2006年『シャンボール・ミュジニー』(デュジャック・フィス&ペール)(左)と2007年『モレ・サン・ドニ』(ドメーヌ・デュジャック) |
デュジャック・フィス&ペールの2006年『シャンボール・ミュジニー』はまだ若々しい色合いで、よく熟したプラムのしなやかな果実味と芳香がある。全体にバランスや調和が取れており、余韻も長い。いま飲んでもいいが、少し熟成させても深みが増しそうである。セイス氏によるとこの年は「リッチな果実味が特徴」という。
本拠地ドメーヌ・デュジャックの2007年『モレ・サン・ドニ』はどうだろうか? 先ほどとは対照的に、ほろ苦さやスモーキーさ、シナモンなど乾燥スパイスのような風味が勝っている。果実味も充分あり、全体として整った構成の味わいだがややスリムだ。この年は「ミネラル感とやや軽い渋味」が際立つので、早めに楽しめるタイプだろう。