ワイン/ワインバー・レストラン

温かなるフランス料理:アラジン(2ページ目)

もしもあの時、シェフがフランスに戻っていたら……我々はこの、心温まる料理を食べられなかったに違いない。広尾のフランス料理店『アラジン』で、ワインと料理を合わせる。

執筆者:橋本 伸彦

アール・ヌーヴォーの店内

店内は居心地の良さそうなしつらえである。赤いビロード張りのベンチシートと、シンプルだが洒落たデザインの椅子。そこここに飾られる絵画や置物はフランス的なアイテム、特にアール・ヌーヴォーのデザインが中心になっている。シャトー・ムートン・ロートシルトのラベルなどムートン(羊)に関連する物が多く飾られているのは、なんとシェフが十二支の未年生まれだからという洒落心である。

懐かしいフランスの雰囲気で満ちた店内

ヨーロッパに行った経験が豊富な人であれば、きっと懐かしさを覚える雰囲気である。フランスの地方にあるレストランで、こんな内装のクラシックな店がありそうだ。それは高級店や大会社の経営ではなく、たとえば個人や家族で長く経営していて地元の住民が旨いものを食べに通う店といった雰囲気なのである。

左の陶器に詰められたペーストがリエット。オリーヴは小粒で風味が新鮮
最初に付き出しとして供されるのは、リエット(豚肉を香辛料と蒸煮にしたのちペーストにしたもの)と緑や黒のオリーヴ。オリーヴはフレッシュな香りで食欲を増し、リエットは豚肉の繊維がサラサラにほぐれて脂となじんでおり、塩味と旨味そしてスパイスが効いてこっくりとした味わい。自家製のゴマ入り丸パンにつけて食べれば、それだけでワインがすすもうというものだ。


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