ワイン/ワインバー・レストラン

温かなるフランス料理:アラジン(3ページ目)

もしもあの時、シェフがフランスに戻っていたら……我々はこの、心温まる料理を食べられなかったに違いない。広尾のフランス料理店『アラジン』で、ワインと料理を合わせる。

執筆者:橋本 伸彦

しっとりした食材が渾然一体

一皿目の前菜は、ホロホロ鳥(ちょう)を一枚に開いて、フォワグラ、ジロール茸、石川芋、牛蒡を巻いて筒状に成形して火を通し、冷まして輪切りにした料理。周囲には春野菜の軽やかなサラダが散りばめられる。ホロホロ鳥は「ニワトリよりもキジに近い風味を持つ食材」(川崎シェフ)で、フランスでは日常的によく食べるものだ。

『ホロホロ鳥とフォワグラとジロール茸、石川芋、牛蒡のガランティーヌ&春野菜』

しっとりとピンク色に火が通ったホロホロ鳥の中に、ねっとりと柔かく仕上げたフォアグラ、柔かく浅黒く香りのある石川芋(里芋の小粒な早生品種)やゴボウ、アクセントとなるジロール茸が配される。これが一体となって、しっとりねっとりもっちり……素晴らしい食感と風味のハーモニーである。合間には周囲の軽く仕上げたサラダをつまむと、ちょうどいい箸休め(「フォーク休め」だろうか?)になる。

シャブリ ヴィエイユ・ヴィーニュ 2005年 (ジャン・コレ)

サラダのフレッシュさを覆い隠さず、しかもフォアグラのリッチさにも応えるワインはないものか。白ワインを見ると、ヴィエイユ・ヴィーニュ(古樹)のブドウで造ったシャブリがある。コレという生産者の1級・特級畑もののシャブリは非常に硬質だが、村名シャブリでしかも古樹独特のなめらかさと、2005年という熟したヴィンテージのふくよかさがあれば大丈夫である。抜栓してから時間が経つにつれて、厚みや複雑さを増すワインで、蜜入りリンゴのような甘やかな果実味が心地良い。

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