ワイン/ワインバー・レストラン

温かなるフランス料理:アラジン(6ページ目)

もしもあの時、シェフがフランスに戻っていたら……我々はこの、心温まる料理を食べられなかったに違いない。広尾のフランス料理店『アラジン』で、ワインと料理を合わせる。

執筆者:橋本 伸彦

食後の悦楽は尽きず

この店でもうひとつ特筆すべきなのは、チーズとデザートである。チーズのアイテム数は日によって変わるものの、この日はかなり充実した揃えだった。そしてこれらのチーズの熟れ方ときたら! こんな深い色合いで誘惑されては、チーズ好きはたまらないだろう。ぜひ白ワイン(辛口あるいは甘口)を注文してチーズを心ゆくまで楽しむべきだ。

熟したチーズのセレクションは、濃厚な風味に酔える

デザートにも抜かりはなく、コースでは「冷たいデザート」と「温かいデザート」の2段構えで供される。まずは涼しげな大ぶりのガラス器中央の窪みに、さらりとろりと注がれたイチゴのスープに程よい柔らかさのイチゴのシャーベットを置き、その上にヨーグルトのシャーベットが乗っている。イチゴそのものよりもはるかにイチゴらしさが楽しめる、極めつけのデザートである。

『苺のフレッシュスープ&ヨーグルトシャーベット』

次のデザートは、チョコレートを入れて泡立てた生地をしっとりと焼き上げた「焼きチョコレートムース」に、金柑(きんかん)のソースとバニラアイスクリームを添えた皿。チョコとバニラアイスならよくある組み合わせかも知れないが、きめ細かなスフレのような焼き菓子に上質なアイス、しかも金柑のソースがたとえばリキュールのような、独特な風味を与えてデザートとして面白い組み合わせになっている。

『金柑ソースと焼きチョコレートムース&バニラアイスクリーム』

ここまで見ると、デザートは拡大写真であることを考慮しても量が多いように思える。実際、食後の満腹感はきちんとあった。だが私は食後4時間で空腹になり、この日の晩飯を食べていた。考えてみると、このコースはどの料理も分量が適度に抑えられ、バターやクリームの使用は控え目で、野菜がたっぷりと使われる。じつはかなり健康的に構成されているのである。

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