中国茶/おいしい中国茶の入れ方

茶葉を生き返らせる(2ページ目)

時間が経ってしまった中国緑茶。でも捨てるのはもったいない。そんなときには、焙烙で生き返らせてあげましょう。

執筆者:平田 公一

劣化した茶葉を焙じ茶にする


自宅にある道具で美味しい茶葉に

日本では昔から焙烙という陶器の用具があり、その器を火にかけて、塩、米、豆、銀杏、そして茶葉を炒る(時には蒸す)ときに使われてきました。

この焙烙、今でもちゃんと日本茶専門店などで入手できるので、使っている方もいらっしゃるのではないかと思います。

火にかけて茶を炒めれば、それだけで香ばしい自家製のほうじ茶が出来上がる優れた代物。以前中国茶サイトでもご紹介した『東京の日本茶カフェ』の著者かなざわゆうさんも、使い勝手の良いオリジナルの焙烙を販売されています。

予め火で熱した焙烙に茶葉を入れて、そのまま3分程度(ちゃんとした焙じ茶にするには3分以上必要)炒り続けます。でも、それだけ。とても簡単に、いままで生臭かった茶葉が香ばしく香り、昆布だし味だった茶も、すっかり焙じ茶テイストに生まれ変わります。

もちろん、焙じ茶になったからといって、全て同じ味になるわけではなく、茶葉によっても違う味になりますし、うまくすれば加賀棒茶のような、あるいは香悦(柳桜園茶舗)のようなお茶に仕上がるかもしれません。

このやり方はもともとは日本オリジナル。ですが、日本の焙烙を模倣して台湾などでも焙烙が作られて、手軽に焙煎の効いたお茶が飲めたりします。以前台湾で作られた焙烙セット(コンロ付き)を持っていたのですが、気が付いたら中国茶フリマで手放してしまったようで、すでに手元にはありません。ちょっと惜しいことをしたかなと思ったり。

ただ、この焙烙も使わないときには場所ふさぎ。もちろん、お茶会などのちょっとした演出に使えたりするので、持っていても損はないのですが、毎日茶を炒るわけではないし、気が向いたときに使うには、わざわざ購入するのもためらわれます。

要するに、茶葉を炒ることが出来れば何でも良い訳で、ガイドひらたは、最近はもっぱら自分用の茶の場合は、このステンレスの普通の鍋を使用しています。ステンレスの鍋の場合も、やり方は基本的には焙烙と同じ。ただし、熱伝導が磁器よりもはるかに早いので、弱火で炒ることが基本になります。弱火でステンレスの鍋を空焚きして、そこに一回分の茶葉を入れて軽く2~3分ゆするだけ。

ただし、ガイドひらたのお勧めは、本格的な焙じ茶にするつもりはまったくないので、浅炒り焙じ茶程度に表面を焼いて香ばしくすればいいという程度の炒りでとめてしまいます。

これを急須に入れて、熱湯を注ぐ。それだけで、何杯も飲みたくなる香ばしいお茶に変身するのです。

ただし、フライパンは使ってはいけません。油をどんなに落としても落としきれないし、様々なものを炒めた鍋は、匂いが付いてしまいます。それよりも感覚的になんとなく美味しく仕上がりません。

もちろん、こんな焙じ茶作りは、同じ要領で文山包種とか台湾高山茶、そして飲みにくい黒茶なども結構蘇生したりするもの。

是非自宅に眠っている美味しかったお茶を救出してあげましょう。残暑厳しいこんな時期には、こんな自家製焙じ茶をアイスティーにするのもお勧めです。

<関連リンク>

かなざわゆうさんの焙烙はこちらから購入可能です。
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