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お茶の色(2ページ目)

「茶色」はいわゆる褐色を指す意味に使われます。でも煎茶は黄緑。では何故そうなったのでしょう。茶の色について化学的に解き明かしてみました。

執筆者:平田 公一

では、茶湯はなぜ緑?



現在の緑茶の水色は茶色ではない


黄緑色の煎茶で布を染めると、確かに茶色に仕上がります。では、なぜそもそも現代の煎茶は黄緑色をしているのでしょう。茶の茶湯の色について、探って見ましょう。

茶を淹れたときの茶湯の色を「水色(すいしょく)」と呼びます。茶の成分のうち、水溶性成分が湯に溶け出し色を付けるのですが、色を発する主な成分は、フラボノール類とその配糖体だと言われています。

緑茶の場合は、そのフラボノール類と配糖体が黄色系であり、さらに、可溶性のクロロフィルが加わって緑を帯びるのではないかと考えられています。さらに、専門的にはケルセチンの配糖体ルチンもわずかに緑を帯びた黄色だといわれ、これらの成分が複雑に溶け合って茶の色を決めているのだといいます。

ちなみに最近話題のカテキンは発色しません。でも、カテキンが茶染めの色を出すといわれるのは何故でしょう。

それは、酸化したカテキンが茶色になるからです。染色工程ではまず茶汁を煮出します。それを一定時間放置すると、茶汁の中に含まれるカテキンがが酸化発酵し、そのために褐色になるのです。このカテキンは、いわゆる柿などのタンニンと類似した成分であることから、「茶のタンニンが酸化して茶色になる」と書籍などには書かれていますが、カテキンが酸化したことと同じことです。

烏龍茶は茶色い?



烏龍茶は茶色なのだが・・・


では、青茶の色を考えて見ましょう。

緑茶と紅茶の中間に位置する青茶は、まさに、カテキンを酸化させてつくるお茶です。したがって、その化学変化でまさに黄緑色が茶色に近い色に変質することになります。

もう少し詳しく化学的に分析すると、カテキンの酸化やカテキン類とアミノ酸や糖などが反応してできた化合物によって、黄色から赤みを帯びます。

発酵が低いほどカテキンの酸化は抑えられるため、緑茶の色に近く、発酵が高くなるほど、紅茶の色に近くなります。

ただし、いわゆるサントリーの烏龍茶の色として認識される褐色の水色は、カテキンが熱を加えられて「熱転化」を起こすために出る色だと考えられています。つまり、京番茶や焙じ茶もそうなのですが、カテキンに焙煎などによる熱が加わることで、有色物質が作られて、褐色になります。したがって発酵度の弱い茶を焙煎等により加熱した場合でも茶の色は、黄色に加え赤味を帯びることになります。

なお、焙煎による赤味を帯びた茶色は、黒灰色をともなうため、紅よりも褐色に近い色になることも知られています。

では、紅に近い紅茶の色はどのような理由で発色するのでしょうか。

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