中国茶/茶器・茶道具

東洋陶磁美術館で素晴らしい茶碗に出会う

大阪市の東洋陶磁美術館には、中国韓国を中心にした素晴らしい陶磁器が沢山収納されています。その中から茶碗2点を紹介します。

執筆者:平田 公一

原点は安宅コレクション



東洋の陶磁器が集結した「東洋陶磁美術館」


中国茶に興味のある方は、焼き物にも興味がある方が多いと思います。特に、中国茶の歴史を紐解くと、唐代や宋代の優れた茶器の製造が、中国を代表する陶磁器製造をリードしてきたことが伺えますし、その中国の陶磁器が世界の陶磁器の歴史の根幹になるわけですから、世界の茶文化における陶磁器は、こうした中国茶にまつわる陶磁器をはずしては語れません。

さらに、それが韓国や日本、そしてヨーロッパに渡り、さまざまな文化や陶磁器を生み出して来たことを考えると、中国の陶磁器の役割の重さを感じられずにはいられません。そして、そんな中国の歴史的な陶磁器を実際にこの眼で見たくなるものです。

日本においてもさまざまな博物館や美術館にこれら中国茶と関連の深い陶磁器が収納されていますが、手っ取り早く、そして素晴らしいものを目の当たりに出来る場所はそんなに多くはありません。それが可能である、唯一といっていい陶磁器の専門美術館が大阪にあります。「大阪市立東洋陶磁美術館」です。



素晴らしい収蔵品の数々が見学できます


この美術館は、総合商社の安宅産業株式会社経営者の安宅英一氏が美術眼を活かし、社として購入してきた東洋の陶磁器のコレクション「安宅コレクション」が元になっています。

安宅産業が経営危機に陥った際、あちこちから国宝を含む世界第一級の東洋陶磁のコレクションが個別にばらばらと散逸してしまうことを危惧した声が上がり、管財責任者であった住友グループが大阪市に寄贈したのが始まりです。

1982年に、大阪市がこの安宅コレクションを展示する目的で開設した美術館ですが、現代では、安宅コレクションに限らず、広く東洋の陶磁器の収集展示を行う、日本では最大級の専門美術館なのです。

安宅コレクションというと、高麗、李朝の青磁、白磁が有名なのですが、もちろん中国の唐三彩から元代の青磁、そして有名な国宝の陶器なども含めて、その玲瓏たる素晴らしさ、美しさは、魂を奪われるほどです。

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