中国茶/中国茶の基礎知識

季節ごとのお茶を楽しむ

中国茶は、一年をとおしてその味わいや香を楽しむことができます。季節それぞれにどのようなお茶の特徴があるのかをまとめてみました。

執筆者:平田 公一



季節ごとのお茶の楽しみを


中国茶は日本茶と同じで、春に詰まれるものが基本です。しかし、その作り方によって様々なお茶があるのも中国茶の特徴です。特に、「香の春茶、味の秋茶」といわれるように、さまざまな季節にお茶が作られています。四季に応じてそのお茶の特徴を折ってみましょう。

春茶



香りと味のよい春のお茶


3月下旬~5月中旬に、製茶されたお茶を春茶といいます。

この春の時期に春に摘まれるお茶は、春仔茶とか頭水茶(頭邦茶)などとも呼ばれます。

春は、茶芽が成長するためには最適な気候であり、また、雨が多く、茶樹が半年にわたる生長を経て、春の茶の芽が大きく、色が青緑色で、葉の質が柔かくなる季節です。そのため、、豊富なビタミン、特にアミノ酸が含まれていいます。

春茶がやわらかく質もよいとされ、高く評価される理由は、春の早い時期に摘まれた新茶の季節には、このようにお茶のうまみ成分であるアミノ酸の量が相対的に多く、また花香成分であるリナロール、ゲラニオール、シスージャスモン、インドール、さらに爽やかな青葉香の青葉アルコールやエステル系が多く含まれているためといわれています。

春の時期も遅くなってくると、渋みの原因であるカテキンの量が増えてきます。したがって、春の早い頃のお茶は味があっさりしてよい香りがあり、アミノ酸の中でもうまみ成分とも言われるテアニンが保健機能が高いと言われています。

なお、春茶も、その製茶時期で清明節(4月5日ごろ)より前の茶を「明前茶」(春分前を「分前」ということもある)、穀雨(4月20日ごろ)の前の茶を「雨前茶」、後の茶を「雨後茶」と呼ばれ区分されています。

最近は、中国緑茶の季節も遅くとも雨前で終わってしまうものが多く、味わいのしっかりしたお茶が少なくなってしまう傾向が見受けられます。地域の佐は有りますが、採摘期間は20日程度に縮小してきており、昔のように40日間ほどの時期を早春と晩春に分ける場合は少なくなりつつあります。

夏茶



開面摘の烏龍茶は夏茶に近い季節のお茶


中国の緑茶では、ほとんどが春茶の季節で製茶は終わります。一部、中国や台湾の青茶が5月に入っても製茶が行われます。このようなものは春茶に分類されます。時期が遅くても、台湾の高山茶などは標高の関係で気候的には春茶としても問題ないものが多いからです。しかし、大陸においては、5月の初め~7月の初めに摘み取って製茶した茶を夏茶とする場合が一般的です。


この時期のお茶は頭水夏仔、二水茶(二邦茶)などと呼ばれます。

また、台湾では夏に二度の茶摘みを行い5月下旬~6月上旬のものを「第一次夏茶」、(あるいは単に「夏茶」と呼び二水茶(二邦茶)とされます。)、7月上旬~8月中旬の茶葉を「第二次夏茶」、「六月白」(三水茶・三邦茶)と呼び区別します。

一般的には夏は暑くて、茶樹の新しいこずえの芽が速く伸び、茶湯に溶解する水の浸出物の含有量が相対的に減り、特にアミノ酸などの減少によって、茶湯の味、香りが春茶のように強くはなくなります。一方、茶葉に含まれるカテキン(タンニン)が増加し、カフェインなどの含有量が春茶より多いため、紫色の芽が増え、色がまちまちで、味もわりに渋みがあるものが増えます。

このようなカテキン含有量の多い茶は、発酵工程を加えることで化学変化をおこし、カテキン重合させることにより、渋みや苦味を抑え香りをよくるような製造工程が加えられます。つまり、このような時期の茶葉は烏龍茶や紅茶の製茶に向くといえるのです。

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