輸入されたお茶の検査の仕組み(2)
名古屋検疫所中部空港支部の入り口
その後、指導検査やモニタリング検査が行われますが、過去違反事例があり、特定の品目について全件強制的に検査が必要だと看做されたものが、命令検査の対象になります。通常、これらの検査は、貨物が到着した空港や港の検疫所においておこなわれます
指導検査とは、農薬や添加物等の使用状況や同種の食品の違反情報等を参考として、輸入業者の自主的な衛生管理の一環として、国が輸入業者に対して定期的な(初回輸入時を含む)実施を指導する検査等のことを意味します。その意味で比較的緩やかな監視体制と言うことが出来るでしょう。
一方、モニタリング検査とは、多種多様な輸入食品について、食品衛生上の状況について幅広く監視し、必要に応じて輸入時検査を強化する等の対応を講じることを目的として実施する検査のことです。
すべての貨物を検査することは物理的に不可能ですので、現在は、必要に応じて抜き取りによるモニタリング検査が中心に行われます。輸入されたお茶のうち、いくつかのロットを無作為に取り出しておこなわれます。
輸入されたお茶をすべて検査していたのでは、とうてい輸入したものを消費に回すことができなくなってしまいますので、厚生労働省では、毎年モニタリングをこのくらい行う必要があるという計画を立てます。その計画に基づき、モニタリング検査が実施されるのです。なお、この費用は国が負担することとされています。
さらに、命令検査とは、自主検査やモニタリング検査、自治体当が行う収去検査(輸入後に行われる業者への検査)等において違反が判明するなど、法令違反の可能性が高いと見込まれる食品等について、輸入業者に対し、輸入の都度、実施を命じる検査で、いわゆる全件強制検査のことを意味します。費用は輸入業者が負担し、検査結果判明までは輸入が行えない厳しい措置となっています。
検疫所における検査の手順(厚生労働省サイトを参考に作成)
平成19年度のモニタリング計画では、お茶に関して残留農薬検査を598件、添加物に関する検査を59件実施することが計画として立てられていました。
このモニタリング検査で、違法な残留農薬等が検出されると、その後一定のもの(通常は2回以上の違反事例が合った場合)については、モニタリングの頻度を上げてモニタリング強化が行われたり、また重大事案に関しては、特定の品目について命令検査を受検しなければ輸入できないことになります。
命令検査となった品目については、すべてのロットについて検査が行われることとなるため、農薬などが検出されたものが輸入されることがなくなります。
審査や検査の結果、適法(=合格)と判断された食品等にあっては、届出済証が届け出た厚生労働省検疫所より返却されるので以後通関を進めることとなります。
一方、違反(=不合格)と判断された食品等にあっては、日本国内に輸入することはできません。違反の内容は、厚生労働省検疫所から輸入者に対し通知されるので、以後の取扱いは厚生労働省検疫所からの指示に従うこととなります。通常は、輸入元への差し戻しや廃棄処分にされるのが一般的です。
検疫と通関が終了し受け取った茶葉の梱包
なお、船便、航空便ではなく、郵便など輸入するものであっても販売の用に供し、又は営業上使用する物の場合、同様に食品衛生法に基づく輸入の届出が必要となります(ただし、個人用の貨物等販売などの目的以外であれば輸入届出は必要ありません。)。これにより、同様の審査がおこなわれることになります。
<関連リンク>
輸入食品監視業務ホームページ(厚生労働省)