なにを勉強するのか
長年茶芸を教授している中国国際茶文化研究会の張先生
茶藝師になるためにはなにを習得しなければならないのかというのが一番知りたい部分です。「茶藝師国家職業標準」に則れば、茶藝師とは「一定の水準の言語表現能力、形態知覚能力、敏感な臭覚、色覚、味覚と一定の美学鑑賞能力を備えていなければならない」こととされていますが、さらに、職業道徳、基礎知識が要求されます。
職業道徳とは、職業準則に定められた事項を習得していることが求められ、「茶芸を熱愛し、職種に忠実であること」、「規律を遵守し、法律を守り、文明的な経営を行うこと」、「礼をもって接客し、情熱をもって服務すること」、「誠実にして、信用を守り、つつしみ深く勤めること」、そして「業務を研鑽し、向上に向上を重ねること」と規定されています。
これは、どの職業においても、もちろん我が国において職業に従事する場合も必要な心構えですね。
基礎知識の方は、8つの大項目が設定され、それぞれに習得内容が規定されています。列挙してみると以下のとおりです。
- 「茶文化基礎知識」
中国茶文化の歴史、飲茶方法の変遷、茶文化の精神、中国国内外飲茶の風習 - 「茶葉知識」
茶樹基本知識、茶葉の種類、銘茶及び産地、茶葉品質鑑定、茶葉保存方法 - 「茶具の種類及び産地」
陶磁器茶具、紫砂茶具、その他茶具 - 「品茗用水」
品茶と用水の関係、品茗用水の分類、品茗用水の選択 - 「茶藝基礎知識」
品飲要義、淹泡技巧、茶菓子の選択使用 - 「科学的飲茶」
茶葉の主要成分、科学的な飲茶の常識 - 「食品及び茶葉の栄養衛生」
食品及び茶葉の衛生基礎知識、飲食業衛生制度
- 「法律知識」
中国労働法、食品衛生法、消費者権益保障法、公共場所衛生管理条例、労働安全法規
このカリキュラムを見ると、茶藝師の資格が目指すところが「茶藝館、茶室、ホテル等の場所で茶の飲用芸術服務に専業従事する者」を育成することであることが良くわかります。日本では茶藝の部分のみに焦点が当たっているような気がしますが、もともとはインストラクター資格というよりも「労働資格」であることは、忘れてはいけないのだと思います。