茶ムリエ 宮原昌子さん
「中国茶をいろんな方に知ってもらい。」、「中国茶は難しくない」、「日常のなかに是非お茶を取り入れてもらいたい」・・・。中国茶に何らかの形で携わっている人の多くは、そんなことを思っているものです。ところがなかなかそれを形にして、様々な人たちに提供することは難しいことです。
そこで、これからそんな試みに前向きに取り組んでいる人たちを是非紹介したいと思います。
その第一弾は、中国労働省認定 高級茶藝師で、評茶員でもある宮原昌子さんにご登場いただくことにしました。
高級茶藝師、評茶員の宮原昌子さん
スタートは美と健康への興味から
商社で働いていた宮原さんは、ご主人のお仕事の都合で1996年から2002年までの6年間上海で暮らしていました。上海に行くまでは全くアジアに興味がなかったという宮原さん。しかし、そこで興味を持ったのが、アジアの美や健康に関することだったそうです。たまたまお父様が趣味で鍼の資格を取得されていたということもあり、上海中医学大学にて推拿師(中国式マッサージ)の免許を取得されたのだとか。しかし、宮原さんの興味はそれだけに留まりませんでした。中医学(漢方)や薬膳の知識、そしてさらにお茶へと興味が発展して行ったのです。
上海で出会ったお気に入りの茶壺
そんな宮原さんがお茶に興味を持って最初に飲んだのはジャスミン茶だったそうです。
「学生時代、家族で行ったチャイニーズレストランで飲んだジャスミン茶があまり美味しくなかったのを記憶していて、折角本場の中国にいるのだから、美味しいお茶を飲んで見たいと思ったのです。そうしたら、ものすごく美味しくて、やられたという感じでしたね。」とのこと。
それからは、中火の安渓鉄観音などのお茶にすっかりはまってしまったのだそうです。
中国茶専門店で腕を磨く
そこで、宮原さんは、自分でいろいろとお茶の探求を始めたのだそうです。上海ですから、様々な緑茶、青茶、花茶などが手軽に入手できるので、あれこれと試して見たのはもちろんのこと、中国茶の講座などにも通い、その知識を深めていきました。2002年に日本へ帰国した後、折角中国茶の知識を身に付けたのだからと、お茶に関する仕事をしてみたいと、中国茶専門店の門をたたき、自らを売り込んで最初はパートとして働き始めました。
「実は、中国茶の袋詰めなどの裏方仕事も沢山したのですよ。」と笑う宮原さん。
しかし、宮原さんのお茶の知識と中国語という武器を中国茶専門店のオーナーがそのまま見過ごすわけはなく、いつの間にか、中国での買い付けの通訳や、実際の買い付け、販売のコーディネートまで任されるようになったのだそうです。
好みの茶杯でお茶をいただく
「今までに消費者側からお茶を見てきましたが、売る側の目でもお茶を見ることが出来ることが出来たのは、とても勉強になりました。」
中国茶専門店での経験がその後のキャリアに大きなプラスになることは言うまでもありません。お茶がどのように作られるかだけでなく、どのように流通し、消費者の手に届くか。その仕組みが日本でどのように展開されているか。それを知っていることは、お茶を取り扱っていく人にとっては、非常強い武器になります。
そんなキャリアを身に着けた宮原さん、中国茶普及のための試みにエンジンがかかります。