中国茶/中国茶の基礎知識

中国茶の分類:六大分類(1)

中国茶の基本的な分類をこれから何回かに分けてご紹介します。今回は基本中の基本「六大分類」です。2回に分けてお届けします。

執筆者:平田 公一




中国茶を区分するのは非常に難しい作業ですが、安徽農業大学教授 陳椽先生(1999年11月23日逝去)が『六大分類法』を確立されたことにより、基本的なことを整理することが容易にできるようになりました。

実際にいろんなお茶を飲んでいくと、感覚的には六大分類法にぴたりと当てはまらないようなお茶にもたびたび出会いますが、便宜上のこの区分が有意義であることには変わりありません。もちろん、他にもいくつかの分類があるので、おってご紹介しますが、今回はこの6つの区分に花茶+近縁種のお茶(茶外の茶等)を加えた分類をきちんと御紹介します。

中国茶は中国及び台湾の各地区で作られています。そこで、6大分類をベースに省別に区分して、それぞれのお茶の特徴や飲み方などを知ることが出来るように整理してみたいと思います。現在は省別の緑茶のページだけを作成してありますが、近々、このページをスタートページとして、様々な省別のお茶・個別のお茶について取り上げたページをUPしていければと思っています。



緑茶(lu cha)

今ある中国茶の中でもっとも古い歴史を持っている、中国でもっとも代表的なお茶です。中国茶の生産量の70%を占め、生産高、中国国内消費量共にトップの座を占めますが、もちろん種類も豊富です。

開化龍頂(浙江省)
緑茶は、茶摘後、茶葉の成分であるカテキンを熱処理によって酸化発酵をさせないお茶です。そのために茶葉の色がそのまま保存されます。直接茶葉をコップや蓋碗などに入れて、そのまま飲むのがポピュラーです。お湯の色も淡く、渋みの少ないさっぱりとした味わいです。

緑茶はさらに籠に入れて炭火で乾燥させた[火共]青緑茶(きょうせいりょくちゃ)、鉄の釜で炒って殺青・乾燥させた炒青緑茶(しょうせいりょくちゃ)、蒸気によって殺青をする蒸青緑茶(じょうせいりょくちゃ)、日光に晒して殺青をする晒青緑茶(さいせいりょくちゃ)に区分できます。

炒青緑茶は、平坦な鉄の釜で炒りあげ青殺し、揉捻したのち再び釜で炒り乾燥させて作られるものです。出来上がった茶葉の形状で、「長炒青」、「円炒青」、「細嫩炒青」、「扁炒青」に分類することが出来ます。長炒青は、茶葉が細長く(「長条形」といわれます)、主な産地は浙江省(杭緑炒青)、安徽省(屯緑炒青)、江西省(ム緑炒茶)などです。これらの長炒青は、眉茶と総称されており、珍眉、風眉、秀眉、貢熙、片茶、末茶などと呼ばれています。

円炒茶は、小さなころころとした丸い形に仕上げた茶です。浙江省の「平水珠茶」が代表的名お茶です。

龍井茶(浙江省)
細嫩炒青は、芽の部分を丁寧に摘んで仕上げたもので種類も多く、龍井、碧螺春、雨花茶、廬山雲霧茶などがあげられます。なお、扁炒青は、釜で押しつぶして作る茶のことで、細嫩炒青と扁炒青はかぶるものが多くあります。

[火共]青緑茶は、茶葉を釜で炒りあげ青殺し、茶葉を籠に入れ炭火等で炙り乾燥させて作られるものです。そのまま[火共]青と称される茶と細嫩[火共]青と呼ばれるものがあります。

[火共]青緑茶は花茶の原料とされることが多いのですが、細嫩[火共]青は、黄山毛峰のような芽に白毫があるしっかりとした茶葉であるものが多く見受けられます。黄山毛峰以外にも敬亭緑雪などがあります。望府銀毫、漢水銀梭、午子仙毫は、炒青と[火共]青を組み合わせた製法のお茶もあります。

晒青緑茶は茶葉を釜で炒りあげ青殺した後、日光を用いて乾燥させしあげるお茶です。その多くが、散茶で飲まれるより黒茶の緊圧茶に加工されることが多いといわれます。

 【特徴】
  発酵度:不発酵
  香 り:草・豆
  代表茶:龍井、碧螺春、雨花茶、黄山毛峰など


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