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清間茶會春茶會

台湾で茶藝を学んだ方々が集まって立ち上げた茶藝集団「清間茶會」が、和とコラボする春のお茶会を開催しました。

執筆者:平田 公一



桜舞い散る中で

桜の花びらの舞い散る休日の午後に、都内の素敵な茶室で開催されたお茶会に参加する機会に恵まれた。主催は、相模大野にあるアジアンティールーム東方美人のオーナー禰津さん率いる「清間茶會(チンシエンチャカイ)」(間は、本当は中が日ではなく月)。

台湾天仁茶藝文化基金会や陸羽茶藝中心で茶藝を学んだ方々が集まって立ち上げたこの茶藝集団は、毎年都内で茶藝の発表会を開催してきた。

今年は、桜の舞い落ちるこの時期に、上野の由緒ある茶室を貸切り、彼女らの手前によるお茶をいただきながら、茶室の縁側で花びらの舞い散るさまを見ながらお茶を喫することができるという趣向。

応挙館

今回会場となったのは、東京国立博物館の中にある応挙館

この建物は、もともと江戸時代に尾張(愛知県)の明眼院(みょうげんいん)の書院として建てられもの。その後品川に移築された後、昭和8年に国立博物館内に移された。

障子張りの書院造りの建物の内部には、老松と石と竹の墨画が描かれている。

これは 江戸中期の画家で円山派の始祖である円山応挙(まるやまおうきょ)が尾張明眼院に眼の治療で滞留していた際に揮亳したもの。応挙は国宝になっている雪松図屏風(三井記念美術館蔵)を描いたことでも知られている。

春茶會 - 3種類のお茶を楽しむ

今回の春茶會では、いままで清間茶會が行ってきた見せる茶藝の度合いを少しだけ下げ、お茶を楽しんでいただくという部分に軸足をおいたお茶会になっていた。

応挙館の18畳のスペースに「緑観音」、「文山包種茶」、「白毫銀針」の3つの茶席を用意し、まずは、客を2つに分け「緑観音」、「文山包種茶」のお手前を披露する。

今回は、約1時間半ほどのお茶会が3回開催された。一回あたり約30名。「緑観音」、「文山包種茶」と二つのお手前を同時進行させるので、一つのお茶につき15名程度の割り振りになる。

最初は一人がお茶を5人分入れ、あとの10名については日本の茶道同様、水屋で点てたものを運ぶ「お点てだし」も考えたそうだが、どうせならメンバーができる限り人前でお手前を披露できるようにと工夫を凝らし、三煎を15名に出すお手前を考え出した。

一人が真ん中で実際にお茶を淹れる役割を担い、左右に付いたスタッフが、茶杯を温め、茶海から茶杯に茶を注ぎ、客に出す。この作業を流れるように行っていくのだ。

1煎目を5つの茶杯に、2煎目を他の5つの茶杯に、そして3煎目を残りの茶杯に注ぐと、客に出す。全員に茶杯が渡ったときに茶人が「どうぞお飲みください」と声をかけ、飲んでもらう。その一連の流れが見事に美しい。

最初に「緑観音」を飲んだ客は、次に「文山包種茶」や「白毫銀針」を、逆に「文山包種茶」を飲んだ客は、「緑観音」や「白毫銀針」を楽しむことができる。

春茶會 - 陰影の世界でお茶を楽しむ

その後は、茶杯を手に縁側に出て、舞い落ちる桜の花を愛でながら、香の良いお茶を楽しむ。

もちろん、書院造りの障子の影と光を楽しむのもよし、応挙の墨画の前にどっかりと陣取り、覆いかぶさるような松の枝を愛でながら茶を楽しむのもよいだろう。

伝統の和の美しさと台湾の茶藝のコラボレーションという、いままでありそうでなかったお茶会は、お手前を見てもらうというところに一つの目的がある茶会でありながら、さらにそこに「和み」や「伝統美」が追加され、茶と目に入るものの楽しみを通じて、非常にたおやかな時間をすごすことができた。

美しい手さばきで見せる茶藝というものを、日本ではなかなか目の当たりにすることができないのだが、彼女らの活動は毎年進化していると言えるだろう。秋には茶道とのコラボレーションも予定されているという。今後ますます、彼女らの活動がたのしみである。







過去の清間茶會の活動はこちらから

■ 台湾式茶藝の美しさ 清間茶會-夏茶會
■ 四序茶会-美しい手前

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