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今古茶藉 6年目 展示会

1998年にオープンした今古茶藉。6年目を迎える今年、「紫砂って、いったい何?」を追求した展示会が開催されています。

執筆者:平田 公一

会場はパークタワー
▼ 今古茶藉 6年目 展示会
今古茶藉は、台湾出身の簡 金玉さんがオーナーを務める小さな茶館です。東京渋谷区富ヶ谷にあるお店は、1998年にオープンして今年で6年目を迎えます。

今古茶藉は単なる茶館ではなく、消費者の視点から「生産者に対して、こういう風にしてほしい。」という気持ちを実現するため、茶壷や茶葉に関する調査研究を行ってきました。2002年には5年目を迎えるにあたって、いままでの成果の「中間発表」を行ったり、毎年開催されている「夏の大茶会」に出展するなど、精力的に活動を行っています。

現在東京新宿のパークタワー第三ギャラリーにおいて、2004年5月20日(木)~25日(火)(10:00~19:00)まで、6年目の展示会が開催されました。今回は、「中国宜興「陶器の技法展」、「紫砂の巧み」~進化する宜興の造形美」のテーマのもとに、紫砂茶壺を様々な側面から見つめて、「紫砂って、いったい何?」を追求したものです。

土の細かさの比較
▼ 紫砂茶壺の故郷と製造過程
パークタワー一階のスペースで開催されたこの展示の具体的内容は、まず、すばらしい茶壷が作られる宜興がどのような地理的な場所にあるのか、その「歴史や文化的背景、自然環境」などがパネルで紹介されていました。

また、地下から掘り出した原石が、どのようなプロセスを経て焼き物に仕上げられていくのか、パネルで説明されています。さらに、会場には、実際の原土や砕いた細かさの違う土で焼いた茶杯の比較など、とてもわかりやすい形で展示され、茶壷の素材的な側面、さらに茶壷製造に欠かせない重要な大きさ、形などについても、実際の茶壷の展示を通じて理解できるようになっています。

茶壺製造の説明パネル紫砂の原土


▼ 鮑利安氏の実演
展示ではなかなか解りにくい茶壺の製造工程については、実際に高級工芸師、鮑利安氏を招いて紫砂壷の制作実演をしていただいています。

鮑利安氏は1959年の生まれ。高麗君(高級工藝美術師)、潘持平(江蘇省工藝美術名人)に師事し、茶壷技術を磨いた方です。自作のへらを使って茶壷の表面を調整する作業を見せていただきましたが、その緻密な作業は、熟練の技。そう簡単に作れるものではないことが良くわかりました。

会場には、ご自身の作品もいくつか展示してあり、どれもすばらしい作品でした。大降りの茶壷が多いのですが、やはり優れた職人さんの作品は、その地肌の感触が全然違うのが実感できます。

作業中の鮑利安氏表面を磨く
鮑利安氏の作品鮑利安氏の作品


▼ 紫砂への100の質問
また、AAJ中国茶サイトのメールマガジンでもご募集させていただいた「紫砂への100の質問」をもとに、茶壷の大きさや素材による味わいの違い、同じ細かさの土を使って茶壺の造形を変えた場合の仕上がりの違いなど、実際の茶壷を触って知ることができるように展示が行われていました。

さらに宜興市陶瓷博物館助手である畢健森氏を招いて、これらの回答もしていただいたそうです。

同じ素材で大きさ
の違う茶壺を比較
同じ細かさの土で造
形を変えたもの比較
違う素材で大きさ
も違う茶壺を比較
造詣の違い


▼ その他の展示、そして今後
そのほかにも、今古茶藉がいままで手がけてきた茶器の比較や関係者が作った作品?!、さらに今後の研究テーマ「景徳鎮」の作品などが展示されていました。

常に前向きなお茶や茶器との接し方を続けている簡さんのバイタリティーには本当に脱帽です。この展示が終了したら、再び東方美人の製茶研修なども企画されており、全国各地も駆け回わるのだとか。さらにお茶と向き合ってお茶の魅力を様々な人に伝えたいと、簡さんは頑張っています。そんな簡さんのこと、応援したくなりますよね。



 ▼ 今古茶藉
  住所:東京都渋谷区富ヶ谷2-21-11 西建ビル 1F
  電話:03-5478-1428
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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