香港の茶荘、茶館のレポート第三段は、香港の下町上環に店舗を構える老舗中の老舗林奇苑茶行をご紹介しましょう。
▼ 下町の老舗茶荘
古くから茶荘が沢山軒を並べる上環。香港でも昔の雰囲気を色濃く残す下町です。地下鉄駅から程近い数軒の茶荘が店を構えている文咸東街に林奇苑茶行があります。
この当たりのディープな茶荘の中では非常に綺麗で明るいお店なので、誰でもとても入りやすい、フレンドリーな店構えのお店です。「金船標燕窩魚翅燉品専家」という有名な燕の巣の料理店の斜め向い側にあるので、知っている方も多いことでしょう。
この店は、1955年創業の老舗の茶葉店です。しかし、老舗の名前におぼれずに、先日幕張メッセで開催されたFOODEXにもブースを構えるなど、いろんな試みを行っている真面目でとても熱心な茶荘なのです。
ドアを開けて中に入ると、若主人の奥様が英語で対応してくれました。「もし、時間があるのなら、とにかくまずお茶を飲んでみて」と欲しいお茶について試飲をさせてくれます。
茶を入れてくれるご主人 |
「うちでがぶがぶ飲む壽眉(さうめい)や白牡丹という白茶をごっそり買うのに利用している」という牛嶋直美さんのお薦めの寿眉を試飲させてもらいました。でも、ついつい隣に数種類ある白牡丹に目移りが。寿眉に比べてちょっと値段が高いお茶なので、こっちが遠慮がちになってしまうのですが、「飲んでみないとお茶の良さは分からないでしょ」といくつかの白牡丹を出してきてくれました。
▼ 若旦那の貫禄
この奥様とてもフレンドリーで、先日日本に行ってきた話、かたかなの勉強をしている話など、いろいろと話してくれます。ついつい引き込まれていろんな話をしていると、若主人が登場。
ご主人はとても熱心な茶商。なかなかの男前でなんとなく和服が似合いそうな顔をしています。でも、背筋をピンと伸ばしてお茶を入れてくれる姿は、流石老舗の茶荘の若旦那の貫禄。
蓋碗で一番良い白牡丹をいれてくれましたが、ほんのりと柑橘系の香りのするおいしい白牡丹は、お店の自慢のお茶なのだそうです。しかも一番高いといっても、他の高級店に比べると非常にリーズナブルな価格。良いお茶を扱える眼を、しっかりと先代から引き継いでいるようでした。