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アカデミー・デュ・ヴァン。ワイン好きにはその名が広く知られている伝統のあるワインスクールです。
そのワインスクールで数年前から中国茶を学ぶことができるようになりました。今回は、この伝統あるワインスクールの中国茶講座を訪問し、その内容を取材してきました。
▼ アカデミー・デュ・ヴァン東京校
ワインスクールとしてその名が知られている「アカデミー・デュ・ヴァン」。そもそも、1973年にワインコンサルタントのスティーブン・スパリュア氏によってパリでスタートしたワインスクール。ワインを「学び」の対象として初めて位置づけた画期的なスクールとして、いまでもワイン関係の仕事に勤しむ人のみならず多くのワインフリークにも親しまれています。1987年には東京校が開校し、日本でも多くのソムリエやワインアドバイザーを世に送り出してきました。
そんなワイン専門のアカデミー・デュ・ヴァン東京校に、数年前から中国茶の特別講座が設置されました。
中国茶を知ると、その学び方は非常にワインに似ていることに気がつくことでしょう。さまざまな場所で作られるお茶には、その土地独特の顔があります。またそのお茶にはワインと並ぶぐらい非常に深い歴史や文化が息づいています。教授法も比較的似たような思想の元で考えていけるため、ワインスクールで中国茶のクラスが設置されるのも自然の流れだといえるのかもしれません。
最近では、中国茶専門店などによる講座も盛んに行なわれていますが、この特別講座は商売としての中国茶ではなく、知的欲求の対象として取り上げられているという点で、あまり他に例をみない講座だといえるかも知れません。
▼ 棚橋篁峰さん
さて、この特別講座の講師は、漢詩の専門家でもあり、渡中回数140回を数える棚橋篁峰さんです。棚橋さんは、1980年から漢詩の研究のためたびたび中国へ渡り、中国各地を歩かれていましたが、1990年代にはいってひょんなことから?小平元国家主席のお姉さまから友人が譲り受けたという蒙山甘露という緑茶を飲み、「こんなおいしいお茶があるなんて」と、それまでの「中国茶は美味しくない」という認識が間違っていることに気づき、俄然お茶に興味をもたれたのだとか。
日本では文化面に力点をおいた中国茶のテキストが無いということで、最近では、御自分で各地を歩かれた経験を元に「中国茶文化」という本も出されています。
▼ 初級クラス
棚橋さんが教えるアカデミー・デュ・ヴァンの中国茶の特別講座には、「初級」と「中級」のクラスが設置されています。
初級クラスは、お茶の基本を学ぶのですが、基礎の基礎は、あらかじめテキストをベースに予習を求められます。その上で、棚橋先生が、さらにそのバックボーンを深く掘り下げていききます。中国の生の情報をふんだんに盛り込んだその講義内容は、どんなテキストを読むよりたくさんの知識や情報を与えてくれます。
棚橋さんが初級クラスで特に力を入れるのが、「美味しいお茶を実際に飲む」ということです。日本でも最近ではかなりの数のお茶が入手できるようになりました。それでもまだまだ無名の美味しいお茶が中国にはたくさんあります。そんなお茶を実際に中国から持ち帰り、その背景を説明しながら、棚橋さんが入れて受講生がそれを飲むことで、お茶への認識を深めていくことができるというわけです。受講生も和気藹々と授業を受けていました。
月一回半年の6回で完結する講座で、毎回1時間半。この時間があっという間に過ぎていってしまう、楽しくてためになるクラスです。
初級テーマ |
1.中国茶とは何か/中国茶の味わい |
2.中国茶の歴史/緑茶を飲む |
3.中国茶芸と茶器/青茶を飲む |
4.中国茶の分布/黒茶を飲む |
5.紅茶を飲む/白茶を飲む 工夫茶実習とは何か |
6.黄茶を飲む/花茶を飲む 工夫茶実習とは何か |
▼ 中級クラス
中級クラスは、茶藝を中心に展開されます。初級クラスより内容はずっと濃く、茶の伝わった流れ、実際の地理的、文化的な背景を多角的な視点から解説してくれます。受講生は、茶藝セット(茶盤、茶壺、茶杯など)を持参し、中国で形成される茶藝を実際に実習することになります。
中国で茶藝とは、茶を入れる技術のこと。この講座では加えて茶徳といわれるマナー、そして茶道と呼ばれる文化やメンタルな部分にも触れていこうという非常に意欲的なものになっています。もちろん、テーマに沿ったさまざまなお茶を体験できるのも魅力のひとつです。
中級テーマ
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1.雲南省・広東省・江西省のお茶 |
2.福建省・四川省・陜西省のお茶 |
3.浙江省・湖南省・台湾・河南省のお茶 |
4.茶芸(1)茶海双杯法 |
5.茶芸(2)福建工夫茶 |
6.茶芸(3)潮州工夫茶 |
▼ 中国茶文化国際検定制度
現在、棚橋先生は、「中国茶文化国際検定制度」を発足させ、日本における中国茶知識の普及を図っていらっしゃいます。この検定制度は、中国茶文化をあらゆる角度から学び、茶の起源・製造法・茶器・茶と健康・茶藝・茶史・茶の儀礼・茶詩茶聯等の全体像を習得してもらうことを目的に今年創設されたもので、5等級に分かれた検定からなっています。
この中国茶国際検定試験は、中国本土で行われれている「茶芸師」の資格試験とも連動しており、北京で行われる検定試験に合格すると、茶藝師の資格も付与されるのだそうです。
このアカデミー・デュ・ヴァンの講座は、中国茶国際検定試験への受験資格を得るための必要単位数を取得できる講座でもあります。さらに、今年から、初級と中級の受験対策講座も開講されています。
あなたも、アカデミー・デュ・ヴァンで中国茶、習ってみませんか?
▼ アカデミー・デュ・ヴァン
http://www.adv.gr.jp/