■ 凍頂烏龍茶ではないお茶
さて、次に、凍頂烏龍茶ではない台湾のお茶が凍頂烏龍茶として販売されているケースです。もちろん、凍頂烏龍茶ではないということを認識して買っていただける分にはなんら問題ないお茶なのですが、なんでも凍頂烏龍としてしまうのはどうなんでしょうねえ。狭山茶を静岡茶として売っているような印象を受けますが、やはり正しい販売の仕方をして欲しいものです。
○ 四季春
以前、ガイド記事でもご紹介させていただいたことのある台湾の烏龍茶の一つです。しかし、四季春の多くは「桃園」、「名間」という産地で作られることが多く、これは凍頂烏龍茶の産地の鹿谷からやや離れている場所で作られるお茶です。ところが、「凍頂烏龍茶四季春:桃園産」と書かれたお茶を某大手百貨店で見かけました。これは、「狭山茶:静岡産」と表示しているようなものです。まだ桃園産と表示されているだけましですが、なんでも凍頂烏龍茶にしてしまうのは納得できません。桃園産の四季春ならば、「四季春:桃園産」と表示するべきでしょう。四季春という品種は青心烏龍種とは違う品種ですから、花粉症に対する効果はまだ不明です。もちろん、四季春自体はとてもおいしいお茶ですから、是非飲んでみてください。
○ 金萓
確かに鹿谷の凍頂烏龍茶でも金萓という品種が使われることがあるようですから、あながち間違いだとは言えません。しかし、これも産地に注目してください。凍頂金萓茶は鹿谷の凍頂山周辺の農園で作られたものです。しかし、このお茶も名間や阿里山を始め各地で作られています。また、この品種も花粉症に効果があるかはいまのところ研究データがないので不明です。非常に人気がありおいしいお茶ですから、是非、お茶そのものを味わうというスタンスで、購入して欲しいですね。
○ 青心烏龍茶
最近、この名前のお茶が出まわるようになりました。金萓や四季春などと同じように、茶樹の品種をそのままお茶の名前にしたものです。これが鹿谷周辺で作られているのなら凍頂烏龍として認識しても良いでしょう。しかし、このお茶はいろいろなところで作られていますので、必ずしも青心烏龍茶=凍頂烏龍茶ではないということを認識しておいてください。逆にいうと、青心烏龍種の茶葉が花粉症に効くということならば、なにも凍頂烏龍茶だけが花粉症に効くということでもないということですね。青心烏龍で作られたお茶であるのなら、桃園で作られた烏龍茶にも、文山で作られた文山包種茶、さらに、阿里山や梨山で作られた高山茶にだって、メチル化カテキンは含有されているのでしょう。