『茶ともてなしの文化』をお書きになった角山榮先生のインタビューの続編です。角山先生には紅茶文化、特に日本における紅茶文化についてお話を伺いました。

インタビュー前編はこちら。

毎日飲む紅茶が本当においしい

紅茶とケーキをいただきながら和やかにインタビューを受けられる角山 榮先生
「毎日、紅茶が本当においしい。」と、40年以上も紅茶を飲んでおられる角山先生。毎朝、トーストとフルーツに合わせて必ず紅茶を飲まれるそうです。

特にお好みの紅茶はダージリン。入れ方は特別意識されないそうですが、入れたての紅茶は実に美味しく、また楽しいとのことです。3時頃にはまた紅茶。この時にはお菓子をつけていただくそうです。ティーカップを温め、茶葉用の小袋に飲みたい茶葉を入れ、紅茶を入れるのだそうです。


日本の紅茶文化は英国製なのか?
私たちの紅茶文化のあり方について考えてみましょう

-日本に紅茶が紹介されたのは文明開化の時期です。さて、当時の日本人は紅茶にどのような印象を受けたとお考えでしょうか?

「すでにお茶の文化が存在する日本にあっても紅茶というのは、イギリスのヴィクトリア朝文化としてのイメージとして受け取られたのでした。文明開化と同時に紅茶が紹介されたからといって、これらは上流階級のみの楽しみでした。また、しばらくの間、紅茶とは喫茶店で飲むもので、家庭の中にはなかなか入ってこなかったのです。1971年の紅茶輸入自由化以降、本格的に家庭に紅茶が普及してきたといえるでしょう」

ティールームでのコミュニケーションは気楽にできて楽しいもの
-イギリスからの輸入文化として入ってきた紅茶文化。伝統的にお茶を飲む文化がある日本に独自の紅茶文化は芽生えているといえるでしょうか?

「イギリスにおいても紅茶文化が確立するのに200年以上もかかっています。イギリスでは茶文化のないところにできた紅茶文化。茶文化の存在する日本に入ってきた紅茶。日本の紅茶文化はこれからでしょう。しかし、必ずしもイギリスのような経過をたどる必要はありません。

現代は選択肢がいくつもあります。日本人がどのように自分たちの根の生えた文化にするかが問題です。食生活や社会生活が多様化していくなか、紅茶は嗜好品として生き残るでしょう。しかし、ペットボトルで飲むお茶がさらに広がっていくと果たして文化として生き残るかは心配です。お茶というのは相手があって文化が成立すると考えられるからです」

-角山先生はお茶とコミュニケーションの必要についてさらに語られます。

「家庭内でのコミュニケーションが必要なのはもちろんのこと、女性が社会進出した現代、家庭外での集いの場も必要だと考えます。家庭の外、クラブ、習い事などで趣味の合う友人とお茶をすることが大切でしょう」

-家庭でお茶の機会をもつ場合、もてなされたら、今度は自分がもてなさねばならない。そういったものが茶を通じてのコミュニケーションを難しくはさせないでしょうか?

「現代的に考えればお茶をするのにどこかに集まるほうが気楽。そういったことから、ティールームなど外でのサロン文化が茶文化をリードする可能性もあります。共有の空間というのは気楽で、お茶をしながらのコミュニケーションがしやすいでしょう」

ティールームやどこかお茶のできるスペースがあれば、親しいもの同士お茶を囲みながら楽しい時間を共有することはとても簡単にできることですね。ある程度のゆとりある空間で、他人を特別意識しなくていいような場所をみつけてティータイムを楽しんでみませんか。
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