ベルガモットによって生み出されるアールグレイの香り
アールグレイ紅茶の香りのもととなるベルガモット
<目次>
定番の香りでもあるベルガモットとは?
- 学名 Citrus bergamia (Risso)
- 英名 bergamot orange
- ミカン属ミカン科
春に白い可憐な花を咲かせ、11~3月頃果実になります。果実の形は球形、あるいは球形から少し突起がでた洋ナシ型などがみられます。
イタリア・カラブリア州で多く栽培される
ベルガモットは、イタリア南西部のカラブリア州で良質なものが多く栽培されます。カラブリア州のなかでもレッジョディ カラブリア(イタリアのブーツ型をした地図で、ちょうど先端部分にあたる地)は有名な産地です。カラブリア州で生産されるベルガモットは世界の90%以上を占めるほどとか。
ベルガモットの精油をアールグレイの香りづけとして使用
さて、このベルガモット、一般的には生食用というより、精油を採取することが目的で栽培されます。約200kgのベルガモットからようやく1kgのベルガモット精油ができるのです。すでに述べたように、ベルガモットの精油は香料として紅茶のアールグレイに使われていることは有名。紅茶メーカーはベルガモットオレンジでアールグレイに着香することがほとんどです。ちなみに、ベースとなる紅茶は中国のキーマン、セイロン、ダージリンやアッサムなどバリエーション豊かです。
このベルガモットオレンジがアールグレイの香り付けに使われるようになったきっかけは未だはっきりしませんが、かつてはベルガモットオレンジはジンや嗅ぎタバコにも用いられており、ポピュラーなフレーバーだったことにも起因するかもしれませんね。
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紅茶だけでなくアロマオイルや香水などの化粧品としても使われる
アロマオイル、化粧品、香水などにも多く用いられます。他の柑橘果実同様、ベルガモットも果皮のほうが果肉よりも香りが強くでるようです。また、ベルガモットオイルに含まれるベルガプテンという物質は肌に付けて日光にさらされるとシミになりやすいことが判明しています。よって、このベルガプテンを取り除いたオイルも作られています。
4種類のベルガモットオイル 一番左がピュアなオイルでアールグレイの香り付けに用いられるもの 中央2つは香水などに、一番右はベルガモットオイルの増量用などとして使用される(資料提供:伊那貿易商会)
市販されているベルガモットオイルは食用には適さないものがほとんどですから、自分でアールグレイを作ってみたい方は十分な知識が必要です。
もうひとつのベルガモット……同じ名を持つ匂いの似たハーブも
こちらはハーブのベルガモットで主にハーブティーやドライフラワー、ポプリ、サラダとしても用いられる(写真提供:布引ハーブ園)
美しいピンクや赤系の花をつけるこのハーブも通称ベルガモットと呼ばれているからです。
■ハーブのベルガモット
- 学名 Monarda didyma
- 英名 bergamotまたはbee balm
- モナルダ属シソ科
- 北米原産
ハーブのベルガモットを使ってアールグレイ紅茶を販売しているところがあるとは思えませんが、アールグレイという紅茶の製造規定がある訳ではありませんので、ハーブのベルガモットとブレンドした紅茶がアールグレイとして売られていても間違いではありません。
■関連サイト
神戸布引ハーブ園
こちらでは年間を通じてハーブを観賞できます(ベルガモットの見頃は7~8月前後)
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