マスター・ド・ラ・ブーランジュリー
3月にパリで初開催されたマスター・ド・ラ・ブーランジュリー (MASTERS DE LA BOULANGERIE)で総合得点3位の成績を修められた ドンクの西川正見さん自らがパンを焼いて披露、そのパンの製法 などのお話を伺いながら、料理とともに楽しむ会が2010年5月11日、 ドンク青山店で開かれました。2010年3月6日~10日、パリで開催されたマスター・ド・ラ・ブーランジュリーでは世界17ヵ国から選ばれた24名のパン職人が技を競った |
マスター・ド・ラ・ブーランジュリーは、個人の技を競う世界大会。 西川さんは、2008年のクープ・デュ・モンド・ド・ラ・ブーランジュリー (こちらは国別チームで競う有名な世界大会。既に7回開催されている) で、日本代表チームのリーダーを務めた時の活躍ぶりが認められ、今回の 出場が決まったのだそうです。
クープ・デュ・モンドの時は、パン職人になったからには世界のトップ に挑戦してみたい、という気持ちで臨んだそうですが、実際それは 「日の丸を背負って1年半、寝る間もない日々! 」だったそう。 だから今回の出場が決まったときは「正直、え、またあの日々……! と思ったんですが」と、内情を明かしてくれました。 それは本当に大変なことなのです。
マスター・ド・ラ・ブーランジュリーの本選ルールでは 7つの課題に加え、前日抽選で決まる粉、発酵方法、副材料を使った 即興のパンも作らなければなりません。8時間で300個のパンを焼いて ディスプレーするのです。それも、たった一人で。
フランスパンディナーで再現されたパン
ドンク青山店で再現された作品とこの日のために焼かれたパンはこのほかにバゲットやデザート用のパンもあった。美しいクープ(切れ込み)や飾り粉に注目 |
そんな大会に果敢に挑戦し、すばらしい成績を修めて帰国された 現在の西川さんは淡々と、でも終始にこやかに大会の話をしてくださり、 大きなことをやり遂げた人らしい、すっきりとした表情をされていました。
一番大変だった即興のパンも、「ほんとうに、感覚だけで、何も考えずに焼きま した」というから、このひとは、真のパン職人なのです。
温度や湿度のコンマ以下の微妙な違いを考慮し、 慣れない場所や設備、初めての素材であっても 生地の状態を見極め判断する感覚を持つひと。 パンをその手で美しく成形し、おいしく焼き上げられるひと。
西川正見フランスパンディナーでは、この日のために特別に焼かれたものも含め、料理やワインとともに、西川さんのパンを堪能しました。
どれもすばらしいパンでした。上の写真、一番手前に写っている小さな白いパンは審査項目「自国のパン」に出品した玉ねぎのパン。「なんで生の玉ねぎを入れるんだ」とフランス人にはウケなかったようですが、昨年リニューアルオープンしたドンク三宮本店では「淡路の玉葱パン」(168円)として大人気なのだそうです。もっちり感のある白いパンに玉ねぎの甘味がよく合っています。
特にわたしが好きだったのは、高加水(95%)の「トゥルト・オ・セーグル」。 熱湯で仕込むライ麦パンです。 それから「メランジェ」。ルヴァン(自家製の発酵種)を使用した フルーツとナッツのパンです。これはドンク三宮本店で買えるそうです。
ドンクのイベントではいつも、すばらしいパンとの出合い、 正統派の職人さんと会話する楽しいひとときがあります。
西川正見さん。現在は神戸エリア支援室に所属し、神戸の店舗をサポート、後進の指導にあたる |
西川正見コレクション
2010年6月19日~27日の期間、マスター・ド・ラ・ブーランジュリー出品作品や 西川さんオリジナルレシピのパンが三宮本店限定で販売されるそうです。こうしたパンはいつでもどこでも手に入るわけでないことは、当然といえば当然であり、残念でもありますが、ぜひとも味わってみたいという方はこの機会をお見逃しなく。その他の商品やイベントの新情報はドンクの公式サイトをご覧ください。
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