パン/パン屋さん取材レポート(西日本)

フール・ドゥ・アッシュ(大阪・本町)(4ページ目)

幼少時の記憶や、修業時代の経験、お客さんから感受するイメージからパンが生まれる。それは日々更新され、訪れる人を喜ばせる。アーティスティックなパン職人、フール・ドゥ・アッシュの天野さんを取材しました。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

その場で食べたい、出来たてのパン

「カボチャのタルティーヌ」は素材の味わいが楽しめるカボチャのマッシュ、とろけるゴルゴンゾーラ、ふわりとのせた生ハムのバランスが絶妙。ベースのパンはハード系ながらやさしい食感です。

中にクリームチーズが入ったプチパンも、ちょうどいい具合に温めてくれるので、イートインにおすすめです。「パリ・リリス」はバゲット生地にフレッシュのクランベリー入り。コショウが利いているので、お菓子系ではなくて料理寄りの味です。生地が茶色く見えるのは石臼挽き粉を使っているから。かわいいだけではなくて、なかなか味わい深いパンです。

カボチャのタルティーヌ(210円)
パリ・リリス(210円) 

取材中、天野さんがパテナイフを使ってヴィエノワにツナサラダのようなものをたっぷり挟んでいるのを見かけました。その挟みっぷりが気にいって、後で買ってみようと思っていたのです。ツナサラダに見えたのはマカダミアナッツ入りのコーヒークリームでした。コクのあるクリームの中に感じるカリカリとした甘味がアクセント。ローストしたナッツを114度まで煮詰めたシロップと混ぜると、砂糖が再結晶化するのだそう。ここにも菓子職人の仕事を見ました。

リリッシュコフェ(190円)フール・ドゥ・アッシュ風コッペパンと呼びたい。

愛するひとを喜ばせるためにつくるパン

「よく擬似恋愛をしているんですよ」と天野さんは言います。 「技術は大事だけれど、やっていけばそのうち誰でもできるようになると思うんです。おいしいパンをつくるのに一番大事なのは、愛するひとを喜ばせたい、と思う気持ちなんです」それは子供やお年寄り、男性のことだってあるそう。「好きなお客さんが増えるのは嬉しいし、張り合いがでます」

現在、店の窓に沿って小さな焼菓子が並んでいます。「フール・ドゥ・アッシュという店は、まだ完成していないんです。地方菓子、生菓子などもちゃんと出していきたいですね」という天野さん。開店時からの計画です。

もっとご紹介したいパンがたくさんありました。それは次に行くときにはモデルチェインジしているかもしれない。だから今を、存分に味わおうと思いました。今を感じるパンは面白く、ストーリーも興味深いのです。今このときだけ。そんなパンにいつも出合えるお店です。

■フール・ドゥ・アッシュ

所在地:大阪市中央区本町2-6-5
地図:Yahoo!地図情報

2012年に閉店。
2013年、中之島に移転、新装オープン。
こちらの記事をどうぞ。
パリ-アッシュ(大阪・中之島)

【大阪のパン屋さん取材記事】
ブランジュリタケウチ(2004)
パンデュース(2005)
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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