パン/パン業界情報、イベント

セ・トレボン大西さんのおいしいパンづくり(2ページ目)

クラブ ド サントノーレ第8回セミナーをレポートします。福岡の人気店セ・トレボンの大西かおりさんが語る「おいしいパン作りの秘訣とパン業界で働く女性のワークライフバランス」実演された素敵なパンの紹介。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

パン フェルミエ

「一つの生地を応用して何十種類ものバリエーションを考えるのが得意なんです。作るのも楽しいしお客さんも楽しいと思うので、お店では曜日替わりでパンを出しています」
農家のパンという意味の「パン フェルミエ」はライ麦10%のカンパーニュ。コクを出すために小麦粉で毎日継いでいる自然発酵種を使用しています。そのパンで3種類のバリエーション(形は5種類)が披露されました。

パンフェルミエとそのバリエーション

セ・トレボンではハード系のパンの占める割合が4割と多めです。それは大西さんが「こういうのがいいな、おいしいな」とフランスで思った味の到達点がハード系のだったからなのだそう。

「フリュイセック」は修業先のパリの店がレストランのためにつくっていたパン。レーズン、ヘーゼルナッツ、クルミ、アーモンド入りで、ハムやチーズによく合います。 「ごろごろ4つの木の実」はレーズン、カシューナッツとシロップ煮したイチジクとアプリコットが入っています。

実演のときよく出てきた言葉は「バシナージュ」。差し水のことです。「ミキシングの途中で加水することで、しなやかなつながりのいい生地ができます。温度調整にも便利なので、店でもとりいれている方法です。加水や発酵についてはその都度、作業場の環境によって見きわめてください」と大西さん。大事なポイントです。

アロマティックレザン

「アロマティックレザン」は大西さんの好きなヴァンショー(ホットワイン)のようにシナモン、アニス、オレンジの香りを移した赤ワインで作ったレーズンパン。香りが心を、ポリフェノールや穀物(もちきび、パンプキンシード)が体を癒すという魅力的なパンです。

アロマティックレザン。三角形に成形したもの(左)と型で焼いたもの(右)

トマトのパン

トマトペーストとバジルが入った生地で作る2種類のパンのうち「プレジール トマト」はクリームチーズ、オレンジ、イチジク入り。意外なようで相性抜群の組合せです。

「ル・クールトマト」は15%のバターが折り込まれた生地にオリーブとベーコンを巻き込んでいます。

トマトのパン(プレートが逆でした)

セーグルフィユテ

もうひとつのパルミエ型、「セーグルフィユテ」はライ麦パンにシナモン、キャトルエピス、ナツメグなどの香るエピスバターを折り込んだパンでオレンジ、クルミが入っています。

ライ麦パンなど、手間隙かかるわりにお客さんに浸透していないパンは、こんなふうに食べやすい形や味つけで、親しんでもらうようにしているのです。
セーグルフィユテ
 

懇親会にて

セミナー後は実演されたパンとチーズ、ワインを楽しみながら情報交換のできる懇親会がありました。今回紹介されたパンはどれも五感がよろこぶ味。香り高く、クラムはもっちりとして味わい深く、お店のパン同様に素晴らしい出来でした。大西さんのお話とパンに、力をもらった方も多かったようです。彼女が目指すクープ・デュ・モンド日本代表選手。一緒に夢見て応援していきたいですね。

左から時計回りに「フリュイセック」「パンフェルミエ」「プレジールトマト」「ごろごろ4つの木の実」「アロマティックレザン」


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【第一回】志賀勝栄さんに学ぶ

【第二回】いがらしろみさんに学ぶ

【第三回】ZOPF伊原やすともさん、りえさんに学ぶ

【第四回】柴田知実さん、松原祐吉さんに学ぶ

【第五回】ヤマサキユタカさん、白仁田雄二さんに学ぶ

【第六回】ベッカライW+haus 渡邉幸子さんに学ぶ
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