志賀勝栄氏の新しいお店三軒茶屋と池尻大橋のあいだ、三宿にこの秋、志賀勝栄シェフの新しいお店がオープンしました。パンだけでなくワインとチーズのテイスティングもできるお店です。(※2015年12月のリニューアルでテイスティングスペースはなくなりました。2016.1追記)
シニフィアン・シニフィエ。 呪文のような響きをもったその店名を直訳すると「意味するもの・意味されるもの」。哲学の言葉では、シニフィアンは「誰もが共有できる事実」を、シニフィエは「個人的なイメージ」のことを表します。 それは、常に新しいものを追求し創造していくことを大切に考えている志賀さんの、パンづくりの姿勢を表す言葉でもあるようです。
物語のあるパンアルトファゴス、ペルティエ、ユーハイムなど、志賀さんが今までシェフをつとめてきた店のバゲットはいつも話題になりました。それは、誰もが考えるおいしいバゲット(シニフィアン)の中にあって、イーストの量を普通のそれの1/20に押さえ、長時間発酵をとる製法など、彼ならではの概念や物語(シニフィエ)も持っているバゲットだったからかもしれません。
なにやらいろいろ解釈ができそうな名前を持つこのお店。 訪れる人それぞれに、パンを通して伝わる物語があることでしょう。 次のページからは、その物語の序章となりそうなこと、 シニフィアン・シニフィエのパンと、パンを味わうために用意された愉しみについてお伝えしていきたいと思います。 |