ADF+TSUJIで行われた「レストランで作るパン」の研修のレポートの後編です。 前編はレストランの調理場で作ることができる12種類のパンの実習内容でした。この記事では、実習で作ったパンの食べ方の提案やパン食文化についてと研修のまとめをお伝えします。 前編:レストランで作るパン【1】 ADF+TSUJI一日体験記 12種類のパンがコーディネートされたテーブル2日間で作られたパンが二人のシェフによってテーブルに並べられました。12種類のパンには欧州のいろいろな国のエッセンスが詰まっています。 切りたての生ハムを巻いたグリッシーニはクグロフの穴に生け花のように挿されました。エメンタール、パルミジャーノ・レッジャーノ、フレッシュチーズは風味の強いパンと交互に齧ったり挟むため。好みでフェンネルやクミンを振ります。シンプルなパンやチーズと合わせるのは、ジャムやタプナード、珍しいセップマーマレード、オリーヴ、生ハム、オリーヴオイル(完熟やビオ、レモン入りなど)。眺め入っている受講生にジュリヤール氏は「パンの食べすぎに気をつけましょう。料理が食べられなくなるので。」と笑いかけ、続けて促すように言いました。「パンは儚いもの。食べて消えてしまうもの。」そして試食の時となりました。 パン食文化の話を聞く「パンはラテン民族にとって毎日の生活に欠かせないものであると同時に、歴史や宗教とも深い関わりを持っています。パンをどう食べるかは今も子どもの躾の一部(例えばパンを裏返してはいけないなど)だし、パンの諺もたくさんあります。料理と食べるだけでなく労働者達の昼食として発達したカスクルート(サンドウィッチ)、子どもの4時のおやつのタルティーヌなど、いろいろな食べ方があります。 そしてパンは友人や家族とのつながりのシンボル、分かち合うものでもあります。是非皆で食べて、香りや食感など五感を通して愉しんで味わってください。」伝統あるパンの国のシェフの言葉は、パンに対する愛情に溢れていました。生活の糧としての伝統の食文化を知って作るのと、技術のみ学んで売るためにだけ作るのではパンに込められるものが違ってくるのではないでしょうか。そんなことを想いました。 次はレストランの厨房で作るパンのまとめです。→ 12次のページへ