3月17日に開催された日本パン菓新聞社主催のサンドウィッチセミナーではADF+TSUJIによるアラン・デュカスのメッセージの込められた「料理人のサンドウィッチ」の他にNYの人気ベーカリーAmy's Breadのエイミー・シャーバー氏による「パン屋のサンドウィッチ」のお話とメゾンカイザーの木村周一郎氏との対談がありました。 Amy's Breadの提案するパン屋のサンドウィッチ NYで大人気のベーカリー、Amy's Breadのエイミー・シャーバー氏もまた、サンドウィッチに大切なことは具材、パン、スプレッド(調味料)だと述べました。しかし、「パン屋のサンドウィッチ」が料理人のそれと違うところは、持ち帰りがあるということ。アピールできるラッピングがデモンストレーションされました。 セロファンやワックスペーパーを使ったラッピングは、衛生面、保存面だけでなく、中身を魅力的に見せる効果もあります。透明、不透明、包み方もいろいろ。 Amy's Breadのサンドウィッチは15種類のパンから具材の特徴によって組み合わせられるそうです。それはちょっとおなかが空いた時につまめるように小さめで、形も種類もいろいろなサンドウィッチ。「パン屋のサンドウィッチ」は数を作らなくてはなりません。そういう「パン屋のサンドウィッチ」について、エイミーさんとメゾンカイザーの木村さんが対談をしました。(以前の記事で少し書きましたが、木村さんはNY時代にエイミーさんのところでパンを焼いていたことがあったのです。) エイミー・シャーバー氏(Amy's Bread)×木村周一郎氏(メゾンカイザー) 木村氏(以下K):「日本のサンドウィッチはコンビニエンスストアの価格に基準があるけれども、NYでは今、どんな感じですか?」エイミー・シャーバー氏(以下E):「だいたい$3~$12といったところです。」 K:「NYの今の健康志向は?」E:「ホールグレイン、ベジタリアンなどヘルスコンシャスな志向はありますね。」K:「今日エイミーが作るハマスとニンジンのサラダなど、以前はジューイッシュデリの食材でしかなかったようだけれど・・・」E:「伝統の食材ですね。いろいろな食材が手に入る時代になったので、さまざまな可能性が広がっていると思います。」 K:「パン屋とデリは、イメージが近くなってきているように思うけれど?」E:「甘いものやサンドウィッチ、そしてコーヒーなどいろいろな需要があって、パン屋とデリは近くなってきているように思います。Amy's Breadでは3種のサラダ、そしてスープも出すようになりました。」 E:「今NYではグリルドサンドウィッチといってチーズのとろけるサンドウィッチが流行っています。日本はどうですか?」K:「角食サンドばかりでなくフランスのパン屋のようなサンドウィッチが認められつつあります。温かいサンドウィッチもありますし、ロティサリーサンドなんてこれから出てくるのではないかな。」 E:「いろいろなパンがあると、そこから生まれるサンドウィッチもある。それはワクワクすることですね。」この後のレセプションでは「パン屋のサンドウィッチ」のデモンストレーションがありました。 エイミーさんによる、ハマス(ひよこ豆のペースト)とニンジンのサラダのサンドウィッチ、ターキーハムのサンドウィッチ、木村さんによる菜の花を使ったサンドウィッチ。これらは前ページで書いた「料理人のサンドウィッチ」と共にサーヴされました。 ハマスのサンドウィッチとターキーハムのサンドウィッチ 誰もが同じことを言いました。 「良いサンドウィッチは良いパンと良い具材、そして良いソース(スプレッド)から生まれる」ということ。 テーマと本質を追求する哲学を持った「料理人のサンドウィッチ」と、種類豊富なパンにさまざまな食材を合わせていく「パン屋のサンドウィッチ」。美味しいものを作るために共通する点は、素材の質にこだわることでした。メゾンカイザーの木村さんを真中にして繋がったアラン・デュカスとエイミーさん。このセミナーのワールドワイドなコラボレーションは、多くの人に次世代のサンドウィッチを考えるきっかけを与えたに違いありません。 【サンドウィッチのセミナーやコンテストの記事】 「料理人のサンドウィッチ」 カスクルートドール@MOBAC SHOW サンドイッチアイデアセミナー ※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。