幸せをシェアするパン,ナショナルデパート2

岡山のナショナルデパートのレポート連載、第2回目です。前編の記事はこちらです。

パンとは生活そのもの

初めてのお客さんの誰もがきっとそうであるように、ナショナルデパートで、わたしは最初、色とりどりのカンパーニュにばかり気持ちを注いでいましたが、落ちついて見れば店頭にはドイツパンや普通のカンパーニュの姿も。食べてみれば、好きな味。

ここでわたしは、前編の最初に書いた「ナショナルデパートは大きな色とりどりのカンパーニュを切り売りする店」というイメージが、ほんの入り口のイメージだったことに気がつきます。ナショナルデパートって、大きいのです。

秀島さんにとってのパンは、フランス人にとってのそれのように、食事パンを指すのでしょうか。

「パンとは生活そのものだと思います。 毎日食べるものがごまかされていたり、ウソであったりしては、 精神が不健康になるし、僕だと単純に泣いちゃいます。
菓子パンは否定しませんが、もっとケーキのように洗練されれば、 パン屋の地位向上にもつながるであろうに。 生活のベースとなるパンが洗練されれば、おのずと生活も洗練され、 すべてのものを見る価値基準が変わる気がします」

ドイツパンいろいろ

ドイツパン詰め合わせ（525円） しっかりとした味わいはもちろん、色で、デザインで、その販売スタイルで、 菓子パンしか知らなかったひとを、おいしい食事パンの世界へ誘うナショナルデパート。

砂糖や油脂を入れたパンを否定するわけではないという秀島さんは、別ブランドで発酵菓子としての菓子パンをとりあげる計画を進めています。楽しみですね。

ドイツパンや素のカンパーニュは秀島さんの「魂のパン」。最近売れるようになってうれしいのだそう。今後はそうしたパンを焼くことも増えそうな気配です。

次のページではナショナルデパートのパンの酵母採取、おすすめのパンの食べかたをレポートします。