フレンチ/東京のレストラン

オレキス(白金高輪)

白金高輪駅近くのモダン・ガストロノミーが堪能できるレストラン。レストランとは料理だけでないことを改めて感じる「ホスピタリティ」がなんとも心地よいオレキス。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

白金高輪

白金高輪の駅ができてからもう何年も経ち、新しいアパートメントや小洒落たレストランが立ち並び、なんかウキウキとする街となった気がする。駅周辺に住んでいる友人も多く、住み心地も申し分ないと示し合わせたように口を揃えて話す。駅ができると街は変る。特に駅周辺は特にそうだ。新しいものには新しいものが付随して生まれてくるものだ。しかし、一歩路地に入ると昔ながらの建物や商店がポツリポツリと暖簾を掲げる。

古いお家が実はカフェになっていたりして、壊すことなく新しいスタイルに変えていくのはさすが、人間の知恵。でも古いものはいつかは壊れ、コンクリートの街になっていくという事実からはどうしても逃げられない。地震のないヨールッパの街並みとは違うことがどうにも悔しい。

・・・街はいったいどこに行くのだろうか。

そんなことを考えながら休日に街を歩く。

オレキス。モダンな外観が特徴だ。07年4月に開店してそろそろ1年半。閉店したジョージアンクラブでソムリエをされていた方と料理人が始めたレストランとのことだが、そのいきさつや詳細はホームページに書かれていること以外特に知らない。

呆れるほどに本物で固められたジョージアン王朝のサロン的レストラン、ジョージアンクラブは日本のフランス料理界に名を残すレストランではあったと思う。しかし文化の継続と言う意味では愚直なほど「変らないこと」にこだわり過ぎたために、日本における飲食文化の流れには決して乗ることはなく、静かに幕を下ろしたことは記憶に新しい。

オレキスはジョージアンとは対照的にモダンな雰囲気に包まれるシックなレストランだ。サービスのクオリティは極めて正当で、主役の料理もすべてを味わったわけではないが、バランスのいい外さないメニューはどれも安心できるもの。

かつて私は、レストランで過ごす時間はサービスが重要で料理はその次などと考えていた時があった。料理は普通に美味しければそれを更に美味しく感じさせてくれるのはサービスで、最後に気持ちよく返してくれる重要なポイントはサービスなんだろうな、と。例えば現ブルギニオンの菊地シェフがアンフォール時代から、ゲストが見えなくなるまで手を振っていたことに私はいたく感動し、何を食べたか忘れたかはていや、すごいいい時間だったと長く記憶に

ワイン
最近は赤よりも白ワインを飲むことが多くなってきた
ところがある転機があってからはレストランは最終的には「料理」で評価されるべきであり、サービスと立地やインテリアはその次と位置づけで捉えていた。確かにレストランはトータルな意味で料理やサービスその他の組合せでいいか普通か悪いかが決る。いや、決められる。最近は旨い料理と向き合えれば結構満足してしまうようになってしまったのだ。それだけ全体的にサービスの質が上がって、どこへ行ってもそう不快な気がしなくなったと言うこともあるのかも知れない。

が、しかし。

オレキスのそれは明らかに違った。
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