フレンチ/フランス料理とは?

官能的味わいの世界(キャビア)(4ページ目)

海の宝石とも言われるキャビア。しかし、その正確な情報についてはあまり良く知られていません。夏の終わりにちょっと贅沢なキャビアの世界をご案内します。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

フランス料理
キメの細かな酸味の味わいがランソンの特徴

最高のシャンパーニュとともに

そのキャビア、シャンパーニュとの相性がとてつもなく良い。シャンパーニュはキャビアのために生産され、キャビアはシャンパーニュのために生まれてくる、といっても過言ではないだろう。

先日は3種類のフレッシュキャビアに合わせたのは、ランソンのノーブルキュヴェ・ブランドブラン1996とロゼ。ブランドブランはシャルドネ100%。10年以上の熟成を経たシャンパーニュとの相性は、お互いが一体になるまで溶け合い、そして分離し、そしてまた寄り添う。至高のマリアージュとはこのことを言うのか。

ピノノワール主体で、骨格がしっかりしているロゼとの相性は、ブランドブランとのそれが「静」ならロゼは「動」か。躍動感ある潮の香りとねっとりとした濃厚な味わいがすーっと溶け込み、まるで気分はカスピ海ののどかな風景と一体になる。

知ってしまった究極の快楽。それも中途半端な出会いではなく、すべての享楽を知り尽くした男と女が最後に出会う場所で味わう官能的な食事を彩るもの、というシチュエーションがぴったりだ。

さて、そのキャビアの気になるお値段だが、日本橋高島屋では食材輸入会社のアルカンが扱うフレッシュなオセトラが50gで32550円。50gというと2人でそこそこ満足できるギリギリの分量だろう。

レストランで50g というと相当なお値段になることは言うまでもない。

今回のキャビアについてさまざまな角度から教えてくれたのは、日本でも数少ないキャビア専門の輸入会社であるカスパールの加賀田氏。カスパール社はカザフスタンの漁師から直接買い付けるルートを持つ会社で多くの有名店に納入している実績を持つ。商社を通さずに、自分達の見えるところで温度管理と保存を行い、日本に届けられる。

加賀田氏のキャビアに賭ける情熱はとてつもなく熱い。次から次へと語られる現地のキャビアマーケット。生態系から法律まで、話し出すと止まらない熱いトークに私や料理人たちはぐいぐいと引き込まれていく。

本物はいつも隠れているというのは本当だった。

想像もつかないカスピ海、そしてチョウザメ漁の実態。かつて私はフォアグラの産地、ペリゴール地方に出掛け、鴨の飼育、そしてフォアグラが生産されるまで様子を見て回ったのだが、そんぽインパクトは未だ記憶に新しい。

百聞は一見にしかずとはこのことだ。次はキャビアか、はたまたトリュフか。
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