シンプルなロースとも実に味わいが深い |
ホンモノはいつも隠れている
さあ、今週末はフレンチでも行くか~、と思う時どんな切り口でお店を探すだろうか。前に行っておいしかったところにいくか、それとも新規で探すか。
次に、高い店に行くか、安い店に行くか。これはいわゆるハレなる日のグランメゾンに行くか、下駄履き感覚で気軽なビストロに行くか。同時に考えるのはコンテンポラリーな料理を食べに行くか、伝統的なフランス料理郷土を食べに行くか、だ。
前者はパテ・ド・カンパーニュ、鴨のコンフィなどに代表されるようなビストロ料理、後者はピエール・ガニエールやアラン・デュカス、日本人シェフではカンテサンスのような、形容できないようなコンテンポラリーな料理を意味する。
得てしてコンテンポラリー系は好立地に、センスのいいインテリアをもってしてゲストを迎えるところが多い。ちょっとお洒落して、ハレの日に出掛けるべきコンテンツを持つレストランであることは疑いの余地はない。お値段もそこそこの用意が必要だ。
伝統系フレンチはフランスの地方の郷土料理を忠実に、もしくは日本人向けにアレンジして提供するスタイル。青山のローブリュー、赤坂のコムアラメゾンなどバスクやランド地方の伝統料理に特化した独自のスタイルを持つ個性的なレストランと言える。
カウンターでフレンチを楽しむオヤジも増えてきたことは確かだ |
特にこの数年の間で高級フレンチ以上にビストロ、つまりフランスの伝統的地方料理を出すところが非常に増えてきた。それは驚きは少ないけれども安心できるレストラン達だ。
ポール・ボキューズやアラン・デュカスをはじめ料理界の重鎮達は皆こう語る。「フランス料理の魅力は地方にある」と。
しかし、増えてきたビストロ、つまり地方料理を出す店のメニューに少し飽きてきたことも事実だ。なんとなく似たような感じに私の味覚の焦点がぼけてしまっているのではという感覚に付きまとわれる。
見た目も豪快な鴨のコンフィ |
「この料理の文化的背景を知って作っているのだろうか?」
当然ながらそこそこの腕を持つ料理人なら、鴨のコンフィ位すぐに作れるだろう。鴨肉も仕込まれた状態で空輸で届く時代である。フランス料理は簡単に作れる時代になったと言ったら言いすぎだろうか。
これまで食べてきた私の大好きな、
「フランスの伝統的地方料理は一体なんだったのか?」
初めてサラマンジェで食事をした日の帰り道、自問自答しながら霞ヶ関駅に向かい一人歩いていた。
さ、どこから書こうか。