フレンチ/フレンチ関連情報

バスクの秘密地下室で作られているものは一体?! アラン・デュカスの情熱世界へ(4ページ目)

パリとモンテカルロに2軒の三ツ星レストランを持つ、最も旬な巨匠の素顔をたっぷりお伝えします。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

料理の師をあげるとしたら?

(間髪入れず)アラン・シャペルだ。
食材の持ち味を最大限に引き出すという技術は彼から学んだ。フランス料理というものをわかり易く理解しやすく楽しめるものにした功績は素晴らしい。

成功している弟子の共通しているコンピテンシーは?

料理
規律を持っていることだな。あとは表現力、技術、つまり食材の見方、技術、調理器具の使い方だろうか。それによりどこの国でも成功することができるだろう。好奇心を持って素直にいろいろな人の影響を受ける、それがないとレベルアップはない。いいか、ムッシュ、立ち止ったらもう終わりなんだ、この世界は。新しいものを見て、食べて、刺激を受けることが重要だ。自分を止めてはいけない。好奇心。そしていい習慣。そして違った習慣、つまり新しい習慣と言うことだ。それをを身につけたほうがいい。慣れは悪くなっていくことに繋がるからね。(クールに熱く語る姿にぐいぐい引き込まれていく)

素材をリスペクトするということをよくおっしゃっているが、調理自体のテクニックは進化していますか、またどのように意識しています?

もちろん。食文化を学ぶこともあるが、厨房機器も大切だ。清潔感、機能的、作る料理に合わせて進化させる。グループアランデュカスでは特注のものを使う。だからメニューを作るのもそれにあわせて厨房機器も立体的に考えて作っている。

「食」について日本に何を期待していますか。

いや、それは全てだよ。日本ほど歴史、文化、食に対して関心の高い国はない。そういった中で毎回来ることで新しいものを食べに行くのは本当に楽しみだ。今夜はお相撲さんとちゃんこ鍋を食べに行くんだ。

日本で気になる料理人はいます?

いないね。いたとしても答えられないよ。この手の質問はよくされるが、なかなか難しいことだよね。料理は人間がつくるものだ。そしてそれは一緒に食べる人によって異なるし、その時の体調によって感じ方も変わるだろ。いいシェフ、悪いシェフなんか存在しないんだ。大事なのは真面目か、そうではないかだ。

ベージュの料理を見ると身体を気遣う料理という印象だが。

料理人は時代を映している。胃にもたれる料理ではなく、健康を意識していかないといけない。これは今の時代の流れだと思う。モナコ、パリ、NY、東京と、都市だってどんどん変化しているよね。人の感性や流行だってそうだ。それと同じようにいつも料理は進化している。私たちの創り出す料理は創作料理ではない。過去は何があったかという伝統をしっかり理解した上で、これから何が必要かを考え、フランス料理として進化させることが大事だ。

パン
パンガイドの清水美穂子さんとおどけるデュカス氏
ベージュもディテールは少しずつ変化していく。まずはバターが変わる。季節感に合わせて胡椒を利かせたものに変える。バターは日本で作っている。それもシェフが日本の原材料を使ってキッチンで作っている。(これは意外なことだった)

(インタビューを終えて)
それにしてもエキサイティングな時間だった。好奇心溢れる彼の視線は鋭く、写真で観る笑顔は当然撮影用のためのもの。料理を語る表情はクールながら熱く、真剣そのものだ。しかし故郷や巣立っていった料理人の活躍の話では表情は和み、語りも饒舌になる。世界中に美食のメゾンを作り上げ、故郷には素朴なオーベルジュやカフェを展開する。パリではじめたカジュアルなサンドイッチハウスも好調なようだ。いずれに日本にも来ることだろう。

ベージュ東京についての記事はこちら

グループ・アラン・デュカスのホームページはこちら

ADF+TSUJI料理教室はこちら
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます