専門家ゆえに市民ランナー向きではない内容
数少ないノウハウ書に書かれている強化方法といえば、インターバル走、ペース走、レペティションが軸になっていました。その練習を市民ランナーとしてはロードを主な練習場所にせざるをえず、マラソンを目指す市民ランナーの教則本としては、不完全なものばかりだったのです。
しばらくしてLSDの有効性を主張した佐々木功氏の『ゆっくり走れば速くなる』が出版され、LSDを練習に取り入れることもあるようになりましたが、その効果に対しては疑心暗鬼だったのではないかと思います。佐々木功氏が主張することが完全に理解される前に、氏が他界されたのは残念なことでした。
ランニングの専門書を読んでも納得のいかない私は、ランニングに関係しそうな本は片っ端から読んで(スポーツ栄養学やスポーツ生理学、競走馬は長く速く走れるのかを研究した本まで含めて)、そこからヒントを得たことを実行しては積み重ねた結果、サブスリーをいとも簡単に達成しました。
少ない市民ランナー向けサブスリー指導書
私は個人的サイト「サブスリー育成講座」で経験を文字通りに紹介していますが、これも陸上競技とは門外漢だった私のやり方や考え方のほうが、過去に陸上競技(特に長距離)に縁がなく、ある程度の年齢に達してから走り始めたランナーには有効だと考え、それを紹介しようと思ったためです。現在はマラソンブームを反映して、有名ランナーによるマラソンノウハウ本が続々と出版されるようになり、書店の棚にはテレビでマラソン解説をする方々の本が一通り並んでいますが、長らく陸上競技に取り組んできている選手出身のノウハウは参考になることが多々あるにしても、市民ランナーには実行が困難な内容が含まれていることがたびたびあることと、マラソン初心者向け内容とサブスリー向け内容が混在していて混乱しやすい、というのが私の実感です。
私の蓄積したノウハウも完璧なものとは思いませんし、市民ランナーなら誰にでも適用できるものと思っているわけでもありませんが、ランナーが進化するためには、知識を蓄積することが必要です。私のノウハウもひとつかみの肥やしにでもなればと考えたのです。
「サブスリー育成講座」改訂版を
幸にして、「サブスリー育成講座」を参考にしてサブスリーを達成したという報告をたびたびいただきました。私の考え方は、自分だけに適合するノウハウではなく、ある程度の普遍性を持っていることは証明されたと思います。しかし、「サブスリー育成講座」をアップしてから11年が経過しました。書いている内容に誤りはないと思いますが、誤字脱字当て字はともかくとして、今の自分からするとより重視すべき要素の扱いが軽かったり、説明不足と思われる点が多々あります。そんな点を補って「サブスリー育成講座」の改訂版を書いておきたいと思います。過去に「サブスリー輩出プロジェクト1 弱点を補強」と「バランスがよければ、サブスリーは可能」で少し触れたのですが、具体的な対策についてはほとんど説明していませんでした(断片的に他の回で書いていることもありますが)ので、具体的な内容にしていきたいと思います。