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オーバープロネーション克服で走りを長続き

オーバープロネーションという言葉を目や耳にしたことがあると思います。走りに慣れてくるほどにこれが問題に。ランナーの過半にその傾向があるというオーバープロネーション対策は、自分の着地の認識からです。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

オーバープロネーションからの脱出

ガイドのニュートラルプロネーションの着地。線はコンピュータが自動解析したライン
ガイドのニュートラルプロネーションの着地。線はコンピュータが自動解析したライン
マラソンの解説書などでよく「オーバープロネーション」という言葉を目にすることがあると思います。プロネーションは回旋や回内と和訳されていますが、足首や手首をひねることをいいます。ランニング用語としてのプロネーションは、着地時に足首の関節位置が内側に倒れ込むことで、オーバープロネーションはその倒れ込みが過度だということ。足のカカト外側で着地し、爪先のやや内側で離地する足の運び(いわゆるがに股)の間に生じやすく、多くのランナーにその傾向があるといわれます。

これに対して、アンダープロネーション(サピネーション)という、足首が外側に倒れ込む人もいます。倒れ込みのないニュートラルプロネーションというカカトの中央で着地し爪先の中央(一般的には足の人指し指)で離地する足の運びもあります。

このほかにもまれですが、極度なO脚でカカトの外側で着地し爪先の外側で離地したり、X脚でカカトの内側で着地し爪先の内側で離地するという足の外側を直線的に使って足を運ぶような、いわば倒れ込みっぱなしのような人もいます。

理想はニュートラルプロネーション

やはりガイドの左足の着地。ごくわずかにオーバープロネーションしている
やはりガイドの左足の着地。ごくわずかにオーバープロネーションしている
このような足の運びの中で、理想とされる足の運びはどれでしょうか? それはニュートラルプロネーションです。

ニュートラルプロネーションがなぜ理想的かというと、着地時の足首の屈曲角度が小さいために、足首はもとより、筋肉にも偏った負担がかからず、故障が少なくなるとか、疲労も軽減されるからです。進行方向にスムーズに力を移動できるためにスピードを得る上でも理にかなっています。

マラソンのテレビ中継などで、選手の真後ろからのバイク映像で選手の足の運びだけを映していることがありますが、さすがにトップ選手の足の運びは見事。バルセロナでレース終盤エゴロワ選手を追いかける、有森裕子選手の足の運びのバイク映像を見たときには感動しました。見た目では垂直に着地し、真っ直ぐに足が進行方向を向いていました。

ニュートラルに着地するように気をつけて走ればよさそうなものですが、永年身につけたクセのためになかなか直らないのが現実です。オーバープロネーションの着地に慣れて筋肉がオーバープロネーション着地をサポートするように発達してしまったために、ニュートラルプロモーションで走り続けるとかえって疲労が増えるというようなこともあって、いつのまにかオーバープロネーションに戻ってしまうということもあります。
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