ジョギング・マラソン/東京マラソン徹底解説&レポート

東京マラソンを契機に「突然死」の再認識を(3ページ目)

松村邦洋さんが東京マラソンで倒れたニュースは、マラソンにつきまとう突然死の危険を思い起こさせました。これから気温が高くなるにつれて危険も増します。しっかり突然死の予防法を認識しましょう。

谷中 博史

執筆者:谷中 博史

ジョギング・マラソンガイド

問題があることがわかっているなら医師に相談

ハートレイトモニターを使用して、自分の安全な最高心拍数を知ろう
ハートレイトモニターを使用して自分の安全な最高心拍数を知ろう
ずいぶん脅かしてしまいましたが、注意をすれば突然死の危険はほとんど防げると考えられます。

まず、マラソンを行っていい健康状態なのか否かを知っておく必要があるでしょう。循環器系の疾患がある人はまず不適です。過去に罹病歴がある方は医師と相談の上でしょう。

血圧の高い人、疾患とまではいかなくても健康診断で循環器系の異常が指摘された人も医師に相談すべきです。肥満体の方は、突然死だけでなく関節の故障を発症するおそれが濃厚なので、マラソンよりウォーキングでダイエットしてからにしましょう。

ゴール後のクーリングダウンの重要性

ここまでは、いかにもマラソン突然死があってもおかしくないような例を話しましたが、シリアスランナーと呼ばれるような競技志向のアスリートにも、競技中の突然死事故が起きています。この場合の特徴は、ゴールを間近にしたり直後に起きている例が多いこと。その理由は、次のように考えられます。

一般的には、体内の血液環流はもちろん心臓がポンプとなって役割を果たすのですが、運動を開始して血液の環流が激しくなると心臓の働きだけでは間に合いません。では、どうするのかといえば筋肉が血液の環流をサポートします。運動するとは筋肉を動かすことですが、筋肉の伸縮によって血管を圧迫したり拡張したりします。特に脚には体全体の60%の筋肉があるといいます。筋肉を動かすことが筋肉を動かすための血を流すためにも働いているという巧妙なシステムです。

ところで、シリアスランナーの頑張りどころといえば、ラストスパート。体は特別に酸素を必要とします。そしてゴール。ここでぱったりと運動をやめてしまうとどうなるでしょうか。体はまだ大量の酸素を必要としているのに、血液を送り出す働きが一気に心臓だけになってしまいます。その負担たるやたいへんなもの。短距離走でも走っている時よりゴール後のほうが動悸が激しくなっていますよね。これに、さまざまな原因(体調不良や脱水等)が複合的に重なったとき、重大な事故につながる可能性が高くなります。
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